Aqoursの紙飛行機

  

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「青い鳥が、あの虹をこえて飛べたんだから」

 

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「私たちにだって、きっとできるよ」

 

劇場版「ラブライブ!サンシャイン!!」の終盤。

千歌が投げた紙飛行機は、高く高く飛んでいきます。

 

今回は、その紙飛行機と一緒に「ラブライブ!サンシャイン!!」の物語を改めて振り返ってみたいと思います。

 

 

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「もう少し飛ぶと思ったんだけどな・・・」
 
千歌が子供のころ飛ばせなかった紙飛行機は、

 

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どうしてあんなに高く飛んだの?
あのときの千歌に何が起こったの?
その紙飛行機は、どこまで飛ぶの?

 

 

 


 

 

■『夢を飛ぶ紙飛行機』

 

 まず一番はじめに紙飛行機が登場したのは、テレビシリーズ2期1話『ネクストステップ』の冒頭です。

 

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「輝きって、一体どこから来るんだろう?」

MIRAI TICKET」の衣装の千歌が紙飛行機を追いかける途中で地面が割れて落ちてしまう、という「夢の中」のシーン。

 

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 このように「ラブライブ!サンシャイン!!」2期の物語は「夢を飛ぶ紙飛行機」と一緒にスタートしますが、あまり良い印象は受けません。

 千歌が「MIRAI TICKET」の衣装を着たまま落ちる、ということからAqoursは1期ラストで予選敗退したっぽい」ということが分かりますからね。

 

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「あとちょっと、もうちょっと」

 それは千歌のセリフからも何となく分かります。

 

 夢の中の「衣装」や「セリフ」、「落ちる」ことの意味はこんな感じだと思いますが「紙飛行機」はよく分かりません。いきなり出てきましたからね。

 

2-13「私たちの輝き」

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「紙飛行機のときだってそう」

 これは「2期13話の千歌ママのセリフ」と「劇場版冒頭のシーン」で後から分かるのですが、千歌にとって「紙飛行機」は「幼いころに飛ばそうとしていたもの」「でも飛ばせなかったもの」なんです。

 

 このことから、とりあえず今回は「紙飛行機」について下の図のように考えていきます。

 

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 紙飛行機を 「投げる」が「挑戦」、「飛ぶ」が「成功」、「落ちる」が「失敗」に対応していて、「千歌の心理が映像に変換されている」というイメージです。

 

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※紙飛行機に関してはとにかく説明が少なく、「とりあえず仮にこう考えてみる」という感じにはなってしまいますが、逆に「説明が少ない」ということはつまり「シンプルに読めばそれで良い」のかな、と思って「映像描写がそのまま心理描写になってる」という単純な読みをしています。特にサンシャインでは「心理」が「天気」に表れたりしますからね。

 

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「本当は悔しいのに誤魔化して、諦めたふりをしてた」

 また、千歌ママのセリフから「千歌は幼い頃に紙飛行機を飛ばせなかった」ということも分かるので、千歌にとって「紙飛行機」は「失敗のイメージが強いっぽい」ということも同時に見えてきます。

 

 それがたぶん千歌の「普通怪獣」という言葉につながっているのかな、とも思います。自分には「特別なこと(=紙飛行機を飛ばすこと)はできない」とずっと思っているから。

 

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 これらの「紙飛行機」の意味を踏まえると、2期1話冒頭のシーンはラブライブ予選で負けたこと」「幼いころに紙飛行機を飛ばせなかったこと」「2つの挑戦」のイメージが重なって千歌の夢に出てきた、というふうに見ることができるんです。

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「もしあのときラブライブの予選に勝って本大会に出場できてたら、未来は変わってたのかな」

 2期1話では千歌が「予選敗退を悔しく思っていること」「次の一歩を踏み出せないこと」が強調されていて、この千歌の「次の一歩を踏み出すかどうか揺れる気持ち」がタイトルのネクストステップ』に込められているんですね。

 

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「みんなで折ったからって。応援してるって持ってきてくれたの」

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 そんなとき、クラスメイトから贈られた千羽鶴を見て、千歌は「学校のみんなの気持ち」を知ります。

 

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「紙飛行機」と「千羽鶴」、なんとなく似てますよね。

 

 そして千歌は、もう一度「紙飛行機が飛ぶ夢」を見るのです。

 

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 今度は地面が割れることなく、夢の中の千歌は「何かに気付いたような顔」をします。

 

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 次の日の朝、目覚めた千歌はそのまま一気に学校まで走り、幼いころ紙飛行機を飛ばせなかった「普通怪獣」は「何か大きなものに立ち向かう」ように、校庭の空に向かって大きく叫びます。

 

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「ガオーー!!」

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 そして2期1話のラストでは、もう一度「紙飛行機」が投げられるのです。

 

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「最後まで頑張りたい。あがきたい」

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「起こしてみせる、奇跡を絶対に」「それまで泣かない、泣くもんか」

失敗しても、何度でも。

学校のみんなに背中を押され、Aqoursは『ネクストステップ』を踏み出します。

 

 つまり2期1話は、序盤で「何が失敗だったのか」「千歌にとって紙飛行機とは何なのか」を描いたうえで、2期の物語は「千歌がもう一度紙飛行機を投げる物語」になっていくんだということを示しているのです。

 

勇気はどこに?君の胸に!

 

何度だって追いかけようよ負けないで

失敗なんて誰でもあるよ

夢は消えない 夢は消えない

 

 

 

■ 屋上を飛ぶ紙飛行機

 

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 こうして「紙飛行機」と一緒に進んでいく物語ですが、その「紙飛行機」は2期の最終話で再び登場します。

 しかしそのシーンの導入はポジティブではありませんでした。

 

 2期13話『私たちの輝き』のBパート。千歌は1期の物語を「失敗」と感じていたように、2期の物語も「失敗」だと思っていることが分かります。

 それはたぶん、廃校を阻止できなかったから。

 

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 たしかに、2期はラブライブの大会では優勝しました。でも最終話の千歌はどことなく悲しそうです。

 

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「あそこにあったんだよね?」

 千歌は、「輝きはあそこ(=ラブライブ決勝)にあったんだよね?」と聞いています。

 自分では「あった」とは確信できていないから、「あったんだよね?」と人に聞いているんです。

  

2-1「ネクストステップ」

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 2期1話で投げた「あの紙飛行機」が飛んだのかどうか、千歌は確信できていないのです。

 

 だからそれを「確かめる」ために、2期1話で投げた紙飛行機の「答え合わせ」をするために、もう一度紙飛行機を投げるんですね。

 

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「何度でも飛ばせばいいのよ、千歌ちゃん!」

 失敗しても、何度でも。

 今度は母と姉たちに背中を押され、千歌は「最後の紙飛行機」を飛ばします。

 

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「飛べーー!」

 叫ぶような祈るような千歌の声に乗り、大きく飛び上がった紙飛行機はそのまま今までにないくらい長く飛び続け、ついに千歌たちの学校まで届きます。

 

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 しかし、学校の屋上に落ちた紙飛行機を見つけた千歌は、なぜか泣き出してしまいます。

 

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「私は嘘つきだ」「泣かないって決めたよね、千歌」

 家から学校の屋上まで届いたなら十分「飛んだ」と言えると思いますが、2期1話で「奇跡を起こすまで泣かない」と決めたのに泣いてしまった自分を「嘘つきだ」と言うのです。

 

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「起こしてみせる、奇跡を絶対に」「それまで泣かない、泣くもんか」

「まだ奇跡を起こしてないのに泣いてしまった」「あのときの約束を破ってしまった」、だから「約束を守れなかった自分は嘘つきだ」と言っているんです。

 

 ということは、ここの千歌は「まだ奇跡は起こってないと思っている」わけで、その心理が映像に変換された結果として「紙飛行機」は落ちてしまうのです。

 

 最終話になっても、ラブライブで優勝しても、千歌は「紙飛行機」を飛ばすことができません。

 

2-13「私たちの輝き」

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「それが輝きだったんだ。」

 といっても、2期13話の中で起こった順番としては ①紙飛行機が落ちる②千歌が体育館に行く③「私たちの輝き」に気付く という流れなので矛盾はありません。屋上のシーンのときの千歌は「輝きに届かなかった」と思っていたけど、本当は届いていたということです。

 

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「どうして涙が出てくるの?」

 千歌は「まだそのことに気付いてないだけ」なんです。

 

 このあたりの「千歌の気持ちの変化」を強調するために敢えて紙飛行機を落としたのかもしれませんが、それでも2期の中の「紙飛行機の描かれ方」を考えると何か釈然としませんよね。あんなに丁寧に描かれていた「紙飛行機」がまるで「捨て石」のような扱いで「落ちたまま幕が下りる」「最後まで飛ばなかった」というのは、少し消化不良な感じがします。

 

 演出的にも「紙飛行機を高く飛ばして『WONDERFUL STORIES』がはじまる」みたいにしたほうが簡単で自然で分かりやすいのに、なぜわざわざ「難しい演出」を選んだのでしょうか?

 

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 そんなテレビシリーズで残された「紙飛行機の謎」は、劇場版の中で「大きなテーマ」となってしっかりと描かれることになります。

 

 


 

 

■『想い出を飛ぶ紙飛行機』

 

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「もう少し飛ぶと思ったんだけどな・・・」

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 テレビシリーズから1年。

ラブライブ!サンシャイン!!」の劇場版は、幼い千歌が「紙飛行機」を投げるシーンからはじまります。

 

 幼い千歌は紙飛行機を飛ばすことができず、一緒にいる曜が千歌を励ましています。そして、そんな二人に梨子が声をかけていますね。

 

劇場版「ラブライブ!The School Idol Movie

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「冒頭に回想シーンがあること」「そこに登場する3人の子供たちの関係性」を考えると、なんだか「劇場版ラブライブ!」との対比を感じます。「幼い穂乃果は水たまりを跳べた」のに対して「幼い千歌は紙飛行機を飛ばせない」というのも、それぞれの作品の色が出てますよね。

 ※もちろん劇場版で海外に行くという時点で意識的な対比はありますし、この冒頭の回想シーンが終盤で再登場するという流れも全く同じです。

 

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 そして「もう一つの対比」として、「冒頭が紙飛行機のシーン」ということと「そのときに流れる劇伴の曲名」に注目すれば、テレビシリーズ2期1話との対比も少なからず感じます。

 

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 つまり、千歌たちの物語の中の「紙飛行機の役割」はまだ終わっていないこと、2期で出来なかったことをもう一度、劇場版もテレビシリーズ2期と同じように「千歌がもう一度紙飛行機を投げる物語」になっていくんだということが、この冒頭のシーンから見えてくるわけです。

 

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 そしてそれは、オープニングの『僕らの走ってきた道は…』で紙飛行機が飛ばされることからも分かります。

 

 まるで2期13話でやったような「答え合わせ」をもう一度、「僕らの走ってきた道は…どんな道だったんだろう?」と言いながら、少し不安そうに紙飛行機を投げる千歌たちの姿が目に浮かびます。

 

 


 

■ 成功の「形」

 

 さて、ここから本格的に劇場版の中身に入っていきますが、まずは「劇場版の大きなテーマ」についてです。

 

 アニメ2期と同じように「紙飛行機」からはじまり進んでいく劇場版。

 その途中に「千歌が2期最終話で紙飛行機を飛ばせなかった理由」が見えるシーンがあります。

 

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 イタリアで鞠莉と鞠莉ママが対峙するシーン。鞠莉ママが「スクールアイドルをやった結果として何を得たのか?」「何ひとつ良いことはなかった」と言うシーンがありますが、千歌たちは悲しそうな表情で、その言葉を否定できずにいました。

 

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「何ひとつ良いことは無かったではないですか」「学校は廃校になり、鞠莉は海外での卒業の資格をもらえなかったのですよ」

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 ここの千歌は「私たちって結局なにを成し遂げたんだろう?」と思ってそうな表情で、この鞠莉ママのセリフは2期13話のあのときの千歌の気持ちを的確に表しているように思えます。

 

2-13「私たちの輝き」

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「あそこにあったんだよね?」

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「どうして涙が出てくるの?」

 つまり千歌にはまだ「自分たちは具体的に何に成功したのか」という「成功の形」はっきりとは見えていない、というようなことが何となく分かります。

 

 でもそれはそうですよね。千歌の言う「輝き」のような「形の無いもの」を言葉で説明するのはとても難しく、ここで鞠莉ママに対して「千歌たちが手に入れたもの」を具体的に説明できる人は視聴者の中にも少ないと思います。

 

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「くだらない!」

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「くだらない・・・?」

 しかしそれでも、「スクールアイドルなんてくだらない」と言われたときには表情が変わり、「自分たちがやってきたことは決してくだらないものではなかった」ということだけははっきりと分かっているように見えます。

 

「具体的な成功の形」は見えていなくても「きっと何かを成し遂げたはず」という「ぼんやりとした実感」だけはある、という感じでしょうか?

 

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 だから、まだ「成功の形」が見えていなかったから、あのときの「2期13話の紙飛行機」は屋上に落ちてしまったのでしょうか?

 

 特に千歌には「子供の頃の紙飛行機」もありますからね。

 どうしても振り払えない「失敗の記憶」が残っている千歌には、「成功の形」をつかむのが人並み以上に難しいのかもしれません。

 

 そんな「目に見えない成功の形」「千歌たちは具体的に何を手に入れたのか」を見つけることが「劇場版ラブライブ!サンシャイン!!」の中の「大きなテーマのひとつ」になっていて、その「答え」は、この先の劇場版の中でひとつずつ丁寧に描かれていくことになります。

 

 

 

■3年生が手に入れたもの

 

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 先ほどのイタリアでの鞠莉ママのシーン。

 そこで早速その「答え」のひとつを、「3年生の3人が手に入れたもの」を見ることができます。

 

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「くだらない!」

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「くだらなくなんかない!」

「スクールアイドルはくだらない」と言う鞠莉ママに対してすぐに「そんなことはない」と反論する鞠莉。

 

 この一連のシーン、1期9話 「未熟DREAMER」の時と似てると思いませんでしたか?どちらも「鞠莉の将来とスクールアイドル」が中心になっていますからね。

 

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未熟DREAMER」のときの「果南の役割」は劇場版では鞠莉ママが担っていて、どちらも「鞠莉のことが大切」だけど「鞠莉の本心をつかめていない」というキャラクターになっています。

 

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「離ればなれになってもさ、私は鞠莉のこと忘れないから」

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 ふたりの「違い」は、果南は「鞠莉を自分から遠ざけようとする」のに対して、鞠莉ママは「鞠莉を自分の近くに置こうとする」という点です。

 

「大切だから遠ざける」と「大切だから近づける」。

 

 やり方は違っても、ふたりとも鞠莉のことが大切で、鞠莉のことを守ろうとしていることが分かりますよね。

 そしてふたりとも不器用で、「鞠莉の本当の気持ち」を分かっていません。

 

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 果南はコーヒーカップを強く置き、「昔の自分」と近い考えを持ってしまっている鞠莉ママにイライラしています。

 

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「鞠莉の自由を奪いたいから」

 似た者同士だから考えが分かってしまうのでしょうか。ここの果南は「未熟DREAMER」のときの「昔の自分」に対して怒っているようにも見えます。

 

 そんな鞠莉ママに鞠莉が連れていかれそうになったとき、果南もダイヤも迷わずに鞠莉の手をつかみ返します。

 

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 ふたりとも、鞠莉の手を離してしまった「あのとき」から大きく大きく成長しているのが分かりますよね。

 

1-9「未熟DREAMER

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 だって「こんなときどうしたらいいか」はもう「知ってる」から。

 

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 傷つきながら、転びながら、3人で見つけた「答え」はもう胸の中にあるから。

 

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「果南が歌えなかったんだよ?放っておけるはずない」

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 「本当の気持ち」を「言葉」にして伝えることができれば、それはちゃんと伝わるんだということをもう知ってるから。

 

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「ママの前で、スクールアイドルが人を感動させることができるって証明できたら、私の今までを認めてくれる?」

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「ママやパパが私を育ててくれたように、Aqoursやみんなが私を育てたの」「何ひとつ、手放すことなんてできない」

 だから鞠莉は、母親に「本当の気持ちを隠さず伝える」んですね。

 あのとき、果南に話したのと同じように。

 

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 ちゃんと、"ぜんぶ残ってる"。

 

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「気持ちはずっと、ここにあるよ」

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 あのときの3年生が手に入れた「答え」が、3人の手の中に残ったもの」が、「目に見える形」になって千歌たちの前に姿を現すのです。

 

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「いいでしょう」

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 劇場版で鞠莉が母親に本心を話すシーンは2つありますが、鞠莉ママはどちらのシーンもそれを聞いたら何故かあっさりと引き下がっています。

 ここに違和感を持った人もいるかもしれませんが、鞠莉ママは最初から「鞠莉の本心を本人から聞くこと」が目的だったのかもしれません。

 

 

 この「鞠莉と鞠莉ママのシーン」が「未熟DREAMER」の状況と似ているように、「劇場版ラブライブ!サンシャイン!!」は、「テレビシリーズと似た状況」が「再現」され、キャラクターたちがそれを「スピード解決」していくというような構造になっているのです。

 

 

 テレビシリーズをなぞるように、「その道の途中にあったもの」を確かめていくように、物語は「紙飛行機」と一緒に進んでいきます。

 

 

 

Saint Snowが手に入れたもの

 

 劇場版の「Saint Snowの物語」はSaint SnowAqoursの力を借りて問題を解決する」という流れになっていて、これも2期9話「Awaken the power」とよく似ていますよね。

 

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「そんなの、人に聞いたって分かるわけないじゃない!」「全部自分でやらなきゃ!」

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「姉さまたちはもう、いないの!」

 姉のいない「新しいグループ」をはじめようとする鹿角理亞。しかしAqoursは6人いるのに対して、理亞はたったひとりです。

 

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 聖良からアドバイスをもらう千歌たちと、それを複雑そうな表情で見つめる理亞。それはたぶん、理亞は聖良にアドバイスをもらうことができないから。

 

2-9「Awaken the power」

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「だから、新しいグループで違う『雪の結晶』を見つけて」「姉さまにもみんなにも喜んでもらえるようなスクールアイドルグループをつくる」「見てて」

 だって理亞は「ひとりでもできるところを姉に見てもらいたいから」「姉を喜ばせたいから」という決意で「新しい一歩」を踏み出しましたからね。理亞にとっては「姉の助けを借りずにひとりでやる」ことは何よりも重要なんです。それはもちろん、大好きな姉のために。

 

 姉のためならどこまでも自分に厳しくできる理亞の「強さと一途さ」、そして「脆さ」はテレビシリーズから変わっていません。

 

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「昔、姉さまと雪の日に一緒に探したの」

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「ふたりでスクールアイドルになるって決めた、あの瞬間から」「雪の結晶を、Saint Snowのシンボルにしようって」

 そんな今の理亞が生まれたのは、幼い日の「あの瞬間」だったのかもしれません。理亞の「冷たくて固い決意」は、「雪の結晶」というシンボルに表れているようにも思えます。

 

 だから理亞は、「姉からアドバイスをもらえる千歌たち」「千歌たちにアドバイスをしてあげる聖良」 「それを羨ましいと思ってしまう自分」に対して「悔しさ」「怒り」「悲しさ」のようなものを感じてしまい、でもそれは「自分で決めたルール」なので感情を吐き出す場所もないような状態なんです。

 

 

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 布団やカーテンにくるまり、ひとりで「殻」にこもる理亞。小さな身体の中にあるたくさんの感情を、ひとりで何とかしようとしています。

 

 

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「ダメだよ!」「理亞ちゃん、そんなこと絶対に望んでないと思う」

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「お姉ちゃんと続けたSaint Snowを大切にしたいから、新しいグループ始めるんだよ」「それって、Aqoursに入るってことじゃないと思う」

 そんな理亞の気持ちに、誰よりも早く気付いたのはルビィでした。その「いっぱいの光」でSaint Snowを照らした、あのときと同じように。

 

2-9「Awaken the power」

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「じゃあ、最後にしなければ良いんじゃないかな」

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「歌いませんか?」「一緒に曲を、お姉ちゃんに贈る曲を作って」「この光の中で、もう一度!」

 あのとき勇気を出して手を差し伸べた、その経験があるから、 今のルビィにはもう迷いが無いように見えます。

 

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「理亞ちゃんが叶えたくて、どうしても叶えられなかった夢を!」

 ルビィの提案でAqoursSaint Snowは、自分たちだけの「夢の決勝戦を行います。ふたりの「夢」を叶えるために。

 

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「今のこの瞬間は、決して消えません」

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Saint Snowは、私と理亞のこの思いは、ずっと残っていく」「どんなに変わっても、それは変わらず残っている」

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「だから、追いかける必要なんてない」

 

 

『追いかける必要なんてない。』

 

 

1-12「はばたきのとき」

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「μ'sみたいに輝くってことは、μ'sの背中を追いかけることじゃない」

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「自由に走るってことなんじゃないかな」

 

「夢の決勝戦」で聖良が理亞に渡した「答え」は、1期12話「はばたきのとき」で千歌たちが見つけた「答え」と同じものでした。

 

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「それでいいんだよって」 

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「それが、伝えたかったこと」

 

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 μ'sもAqoursも、聖良のことも、追いかける必要なんてない。

 何にもとらわれずに。自由に、まっすぐに。

 

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 あのときμ'sからAqoursに渡った「バトン」がいま、理亞の手に渡ります。

 

 鹿角理亞の「はばたきのとき」。

 

 劇場版の「Saint Snowの物語」は、2期9話「Awaken the power」と同じ状況からスタートしますが、最後は1期12話「はばたきのとき」と同じ場所に向かうのです。

 

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 そんなSaint Snowの姿を通して、Aqoursの9人も「羽根の形」をはっきりと目にします。まるで1期12話のあのとき、みんなで出した「答え」をもう一度確認するように。

 

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 全部、「ここ」に残ってる。

 

「あのとき理亞に手を差し伸べたルビィの勇気」も、「Saint Snowとして活動した理亞の気持ち」も、「あのとき見えたμ'sの羽根」も。

 

 ずっとそばにいる。ずっと一緒に歩いていく。

 何ひとつ、消えたりしないんだよ。

 

 

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「分かった。私たちの新しいAqoursが」

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「劇場版ラブライブ!サンシャイン!!」では「0にはならない」 「決して消えたりしない」という言葉が何度も出てきますが、その「理由」は言葉では語られません。

 

「なんで0にはならないの?」「なんで消えないの?」と思った人もいるかもしれませんが、劇場版そのものが「0にならないことの"確認作業"」「僕らの走ってきた道の"確認作業"」になっているんです。

 

 それは今回の未熟DREAMER」「Awaken the power」「はばたきのとき」の3つだけでも十分に分かると思います。

 

 

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「私は嘘つきだ」「泣かないって決めたよね、千歌」

 2期最終話で「成功の形」が見えなくて紙飛行機を飛ばせなかった千歌。

 そんな千歌が、劇場版の中で少しずつ「成功の形」を拾い集め、そしてついに「紙飛行機」を投げる「最後の時」がやってきます。

 

 

 

■ 『Everything is here』

 

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「なんでここにきたの?」「さあ?呼ばれたのかな、学校に」

 6人の新生Aqoursとしてのはじめてのライブをする前に、9人で最後に学校に来た千歌たち。

 

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「大丈夫、なくならないよ」

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「海も砂浜もバス停も」

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「太陽も船も空も山も街も」

 

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Aqoursも」

 

 あのとき、鞠莉ママの言葉に悲しそうな顔をしていた千歌とはもう全く違います。だって劇場版の中で「Aqoursが手に入れたもの」をたくさん見てきましたからね。

 

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「全部、全部、全部ここにある。ここに残っている」「ゼロには、絶対ならないんだよ」「私たちの中に残って、ずっとそばにいる。ずっと一緒に歩いていく」「ぜんぶ、私たちの一部なんだよ」

 

 そして千歌たちは9人で学校から走り出します。

 まるで、9人で走ってきた今までの道を振り返るように。

 

 

 

いつもはじまりはゼロだった
はじまって、一歩一歩前に進んで、積み上げて
でも、気付くとゼロに戻っていて
 

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それでも、ひとつひとつ積み上げてきた
なんとかなるって、きっとなんとかなるって信じて

 

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それでも、現実はきびしくて
一番叶えたい願いは、叶えられず
また、ゼロに戻ったような気もしたけれど

 

 

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私たちの中には色んな宝物が生まれていて

 

 

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それは、絶対消えないものだから

 

 

 

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 千歌が子供のころ飛ばせなかった紙飛行機は、

 

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 高く高く飛び上がります。

 

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 今は千歌だけじゃない、9つのAqoursの紙飛行機」が、空の向こうまで羽ばたいていくのです。

 

 

 

 


 

 

■ 『そして明日へ』

 

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「・・・はやくはやく!」「ちょっと待って!」

 

 

 静岡県沼津市、内浦の浜辺。

 

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「てか、なんでここ来たの?」「聖地だよ、せ・い・ち!」

 

 

「聖地」にやってきた少女が二人。

 

 ひとりはスクールアイドルに憧れる少女。

 もうひとりは、手を引っ張られて呆れながらも付いてきたような少女。

 

 

 まだ「0」の少女たち。

 それでも楽しそうに笑いあう二人のいる砂浜に、

 

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「0の紙飛行機」がふわりと落ちてきます。

 

「落ちた」というよりは、ふわふわと「意志を持って降りた」ように見えます。

まるで「この紙飛行機を飛ばしてみて?」と誰かが言っているようです。

 

 この場所から、この「0」から、新しい物語がはじまりそうな、そんな予感がしますよね。

 

 彼女たちの飛ばす紙飛行機はどんなふうに、どうやって、どこまで飛んでいくのでしょうか。楽しみですね。

 

 

 

 

 それと同時に、その紙飛行機はなんだか「とても長い旅」を終えて「やっとこの海に帰ってきた」という感じにも見えます。

 

 砂の上にゆっくりと腰を下ろして、まるで「ちょっとだけ休ませてね」と言っているみたいです。

 

 すぐそばの、砂で描かれた大きな文字に寄り添うように。

 

 

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「それで、なんていう名前なの?」「うん、名前はね」

 

 

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「"Aqours"――」

 

 

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「サンシャイン―――!」
 
 
 
 
 長旅おつかれさま。
 
 この先も「9つの紙飛行機」が
 ずっとずっと、どこまでも
 飛んでいきますように。

 

 

 

ラブライブ!サンシャイン!! のシュールでかわいい世界

 

 今回は「ラブライブ!サンシャイン!!」の中の「自分が思うシュールでかわいいシーン」を紹介していく「ネタ記事」です。本当に「ただのネタ記事」なのであまり真剣に読まずに「何言ってるんだこいつ・・・?」くらいで読んでください。

 

 ちなみに、筆者の「かわいい」の基準はかなり歪んでいます。それが原因で、書き進めるにつれてだんだん自分でも何を書いてるのか分からなくなってきたため、実はだいぶ前に途中で書くのを止めていた記事なのですが、せっかく書いたので「供養」という意味で公開しておきます。やばいですね。呪いの本か何か?

 

 

それでは行ってみましょう。

少しシュールでとっても愛おしい、「ラブライブ!サンシャイン!!」の世界へ。

 

 

 


 

  

■1期10話「シャイ煮はじめました」

(3:20~)

 

まずは初見で一番笑ったシーンから。

 

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「夏といえば? はい、ルビィ!」

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「たぶん、ラブライブ!

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「さすが我が妹、かわいいでちゅね~」

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「がんば・・・」

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「ルビィ!」

 

 ・・・分かりましたか?

「がんばルビィ」のところで何が起こったのか。
 

 

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「かんばルビィ」のせいでダイヤが右に動いてるんです。

 

 ダイヤは「押されて動いた」か「妹のために動いてあげた」かのどちらかだと思いますが、「笑顔のまま平行移動するダイヤ」と「それをさせてしまうルビィ」の図がめちゃくちゃシュールでかわいいです。なにこの姉妹。

 

 そもそも、なぜルビィは「がんばルビィ」をこんな狭い場所で発動してしまったのでしょうか?

 例えるなら室内で「跳弾」を考えずに発砲するみたいなものです。たまたまダイヤは避けたので大丈夫でしたが、一歩間違えればダイヤの顎に「がんばルビィ」が当たってましたよね。

 

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というか当たってます。

 

 このように不注意で姉を攻撃してしまうルビィですが、この後のカットではさらに驚くべき展開が待っています。

 

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 なんとダイヤが反撃します。

 しかも確実に「ルビィの目」を狙った動きなので、「急所(あご)には急所(目)を」ということでしょう。

 

 そのうえ、予備動作のある「がんばルビィ」に対してダイヤはノーモーションの技、それも今まで一度も見たことのない初見殺しの技を出していて、本当に大人げないです。

 

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そりゃあルビィもこんな顔になりますよね。かわいい。

 

 しかしここで本当に驚くべきなのは、そのダイヤの攻撃を「ルビィが避けている」ということなんです。格闘ゲームで言えば「新しく更新パッチで追加された発生1Fの技」を「初見で避けた」みたいなことでしょう。

 

 これはもう「技の気配」のようなものを感じない限り避けられないと思いますが、たぶんルビィは生まれてからずっと一緒にいる姉だからこそ、大好きな姉だからこそ、その「気配」を感じ取れたのでしょう。いつも「大切な人」の「気持ち」に寄り添ってきたルビィらしい「答え」ですよね。

 

よろしくお願いします。

 

(※繰り返しますが、自分でも何を書いているのか分からくなっているので「何言ってるんだこいつ・・・?」くらいの気持ちで読んでください。)

 

 

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 ■1期10話「シャイ煮はじめました」

(18:00~)

 

 同じ1期10話の中にもうひとつおもしろポイントがあります。

 

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「ではこれから、ラブライブの歴史と、レジェンドスクールアイドルの講義を行いますわ」

 またダイヤなんですけど。

 唐突にスクールアイドルの講義をはじめたダイヤは、このシーンでなぜか指示棒を持っていましたがこの指示棒、100%必要無いですよね。

 だって「指す場所が無い」じゃないですか。

 

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↑どこ指してるのこれ?

 例えば「細かい年表」とか「箇条書き」なら指示棒で指すのは分かりますが、 このラブライブの歴史!」とだけ書かれた紙の中には指す場所は無いように思えます。

 

「この"歴"の字の中にある"木"の意味はですね・・・?」みたいに使うなら分かりますけど。

 

 このなんとも意味不明でかわいい指示棒ダイヤですが、この「指示棒」について2期に入ってから驚くべき展開が待っています。

 

 

  2期5話「犬を拾う。」

(5:00~) 

 

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 果南もか・・・。

 2期5話「犬を拾う。」では今度は果南が指示棒を持って作戦会議をはじめますが、このラブライブ!作戦会議」とだけ書かれた紙のどこに指示棒を使うのでしょうか?

ラブライブ!には『ラ』と『ブ』の字が2つずつあるんだよ!」みたいな説明に使うのでしょうか。

 

 果南の体育会系キャラも相まって、ドヤ顔で無意味な指示棒を持つ果南と、それを取り囲んで聞いてるAqoursの図本当にシュールで大好きな空間です。透明人間になってこの部屋に入りたい。(でも透明人間じゃなかったら入りたくはないです。)

 

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 しかもこの指示棒、よく見ると先ほどのダイヤのものとは違うものです。1期と2期の間に「何か」があって買い換えたんでしょうね。

 

どうでもいいか。 

 

 

 


 

 

 ■2期11話「浦の星女学院

(9:00~)

 

 次は2期の閉校祭みかん鍋を囲むシーン。ここもだいぶシュールです。

 

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「千歌ちゃん家特製、みかん鍋~!」

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「おかわりずら!」

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梨子「それでその格好は一体…」

 

・・・分かりますか?

 ここ、花丸の「おかわりずら」が「完全に無視」されてるんです。千歌におわん差し出してるのに。

 

画像を拡大して、よく見てみましょう。

 

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花丸(なんで無視するずら・・・?)

シュールすぎる・・・。

 

「おかわりずら!」の直後にすぐ別の話をはじめる梨子もアレですが、おたまを持ってるのに全くおかわりをしてあげる気配がない千歌もかなりヤバイです。

 

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 もっと言えばカメラが引いて寂しい感じの構図になるのもヤバイですし、そもそも「花丸が食べてる様子を5人が眺めてる」という謎の状況もじわじわ来ます。

 

 まあ、確かに今回は花丸の「おかわりずら!」のほうがおかしい気もするので無視されるのも仕方ないのかもしれませんが、あまりにもかわいそうですよね。

 

 しかしこの後、そんな「おかわりができなかった花丸」に驚きの結末が待っています。

 

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「人騒がせずら」

花丸ちゃんそれ何食べてるの?!

さっきおかわりもらえなかったよね?!その中に何が入ってるの?!

 

 もう全然意味が分かりませんし、さっきまで花丸がかわいそうだと思ってた自分が馬鹿みたいです。

 しかし、こういう時こそ私たち視聴者は冷静に思考を続けないといけないんです。

 

このシーンで考えられる可能性としては

 

 ① 食べてる振りをしてる

 ② 本当は食べ終わってなかった

 ③ 瞬時に「おかわり」をしていた

 

この3つが考えられますが、この中で唯一「②本当は食べ終わってなかった」だけが「千歌たちがおかわりを無視した理由にも答えている」ので一番可能性が高いです。

 おわんの中にまだ残っているのが見えたら、おかわりを入れる必要はありませんからね。

 

 このような「仮説を選び取る」ような推論法アブダクション(仮説形成)」というので覚えておいてください。

 

 

 でも、花丸が「本当は食べ終わってなかった」場合、なぜ「おかわりずら」と嘘を付いたのかという疑問が新しく出てきますが、それについては全然分かりません。

「答え」はいつでも自分の胸の中にあるということだと思います。気が付いて。光があるよ。

 

 

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 1期4話「ふたりのキモチ」

(21:10~)

 

 先に謝っておきますが、次は空耳ネタです。ごめんなさい。というか勝手に空耳してキャラクターをかわいがってるって自分でも頭おかしいと思いますが、許してください。

 

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「ルビィ、スクールアイドルがやりたい!」

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「花丸ちゃんと!」

 

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「・・・マロニー、できるかな?」

 

 マロニーです。

 ここ本当は「マルにできるかな?と言っているんですが、気を抜くと「マロニーできるかな?」に聞こえるんです。

 サンシャインの中でも5本の指に入るくらい良いシーンなので、花丸ちゃん推しの人は私にブチギレても良いと思います。

 

 ちなみに、「マロニーできるかな?」というのはたぶん「マロニー料理が出来上がるかな?」という意味ですが、「ふたりのキモチ」のこんな大事なシーンで食いしん坊キャラを出さないで欲しいです。

 

 ルビィが涙ながらに「花丸ちゃんとスクールアイドルをやりたい!」と言っているのに、それを完全に無視してマロニーの心配をしてる花丸もおもしろいのですが、マロニーは単体で食べるものじゃないというところもポイント高いです。たぶん、食料はあらかた食べつくしてしまって、もうマロニーくらいしか残ってなかったんでしょうね。

 

 マロニーが「最後の命綱」だからこそ、花丸はこんな時でもマロニーのことを心配してしまったのでしょう。

「食べること」は「生きること」なんです。

 

ごめんなさい。

 

 

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 ■2期9話「Awaken the power」

(23:25~)

 

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理亞は、昔から恥ずかしがりあ

 

え・・・?!

これに関してはマロニーより自信あります。

 

「Awaken the power」のこのラストシーン、どう考えても「理亞」と「恥ずかしがりあ」が掛かっちゃってますね。みんなこのシーンで笑いそうになったけど我慢した経験があるはずです。

 

 しかもこれ「聖良とダイヤの会話」なので「姉同士にしか伝わらない渾身の妹ギャグ」みたいな感じでしょうか。 

 

 ここも本当に良いシーンなので書こうか迷ったのですが、我慢できませんでした。マロニーもですが、良いシーンだからこそ空耳とのギャップが際立っておもしろくなってしまうんですよね。

 

 このシーンが好きな人たち、これからそう聞こえるようになってしまったら本当にごめんなさい。

 でもよく考えたら私だってこのシーン大好きなのに、この記事を思い出して笑っちゃうんですよ?だから私も「被害者」のひとりなんですけどね?

 

 

2期4話「ダイヤさんと呼ばないで」

(8:50~)

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よし、こ(善子)れで打ち解けて…

 

2期6話「Aqours WAVE」

(18:20~)

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ちか(千歌)らを抜いて、練習通りに

 

2期7話「残された時間」

(19:15~)

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学校を救うために、すくうルアイドルをはじめたんじゃない

 

 

よろしくお願いします。

 

 

 


 

 

 

 ■2期3話「虹」

(1:20~)

 

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「そんなの簡単だよ」

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「ちょっと!うるさいわよ!」

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「ボヨヨヨ~~ン!(SE)」

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「同じ日曜だ?!」

よく考えてください。

 

「2階の屋根から落ちる千歌」、「わざわざご飯を手に持ちながら外に出てくる姉」、「落ちたときの『ボヨヨ~ン』というベタすぎるSE」、「自分がクッションになって千歌を助けるしいたけ」、「最後の千歌のでかすぎる口」。

 

 もうすべてがシュールで意味が分からなくて、頭がどうにかなりそうです。

 一挙手一投足、全部がかわいすぎる。

 

 ふつう「2階の屋根」から落ちたら千歌もしいたけも大怪我だと思いますが、そういうモヤモヤを全部「ボヨヨ~ン」という古風なSEが包み込んでなんかもうどうでもよくなる感じ、本当に大好きです。なんて心安らぐ世界なんだろう。

 

 一刻も早く千歌たちの世界に行って、2期3話のこのシーンを少し離れた場所でずっと眺めていたい。

 そして、「ボヨヨ~ン」の音が出るボタンをタイミングよく押す係をしたい。

 

そんな気持ちでいっぱいです。

 

 

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 ■2期12話「光の海」

(8:50~)

 

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「うちの妹に何をしてくれてますの?!」

 

シンプルにおもしろい顔です。

ルビィはこのとき、喜怒哀楽のどれなんでしょうか。

 

 こういう「シュールさ」を「どうしようもなくかわいい」と感じてしまう感覚、何なんでしょう。本当にかわいい・・・。

 

 

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 ■1期12話「はばたきのとき」

(3:55~)

 

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ここ、一瞬でPCの向きが反転しています。

 PCが画面外に出た一瞬でルビィが裏返したということだと思いますが、それすらもかわいい。一体どうなってるんだ・・・

 

 

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  1期12話「はばたきのとき」

(5:50~)

 

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 駅前でサインを求められる果南のシーンですが、ここの善子、普通にかわいいですよね。

 

 シュールとかじゃなくて普通にかわいいので今回の記事の趣旨を完全に無視してますが、そうせざるを得ないくらい圧倒的にかわいいんです。

 

 善子はサインを求められる果南のことが「うらやましい」んですよね。「自分もサインを頼まれたい」んですよね。善子ならたぶん自分のサインはもう決めてあって、書く練習もしてると思いますし。「私だってサイン書けるのに・・・」という感じの顔でしょうか。圧倒的にかわいいです。

 

 

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  ■2期7話「残された時間」

(10:35~)

 

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 もう少しで入学希望者が100人に届きそうなシーンで、善子はPCに向かって堕天使パワーを送り、入学希望者を増やそうとしてくれています。

 

いい子だね。いつもありがとう。かわいいね・・・

 

 

 


 

 

  ■1期6話「PVをつくろう」

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  ■1期9話「未熟DREAMER

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  ■1期10話「シャイ煮はじめました」

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  ■1期12話「はばたきのとき」

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  ■2期3話「虹」

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あの、みんな、善子に対して当たりが強すぎない・・・?

いちおう同じグループのメンバーなんですけど・・・?

 

 しかしそれでも、それに気付いてない善子気付いていたとしてもそう見えないように振る舞う善子は、どう考えても圧倒的にかわいい、ということになります。

 

そんな善子に、「センターの景色」を見せてあげたいと思いませんか?

 

Aqours 4thシングル センターポジション総選挙 投票特設サイト 

gs.dengeki.com

 

よろしくお願いします。 

 

 

 


 

 

 以上、私が思う「ラブライブ!サンシャイン!!のシュールでかわいい世界」でした。いろいろ言いたいことはあるとは思いますが、マロニー花丸ちゃん推しの方は本当にごめんなさい。

 

 また、この記事で紹介した他にも1期1話ラストの千歌の「奇跡だよ!」を完全にスルーするクラスメイト2期7話冒頭の裏でしゃべってる1年生の会話のシュールさ2期1話後半の千歌はいつ制服を洗濯したのか?など、細かい箇所を言えばもっともっとあるので、自分なりの「シュールかわいいポイント」を探してもらえればと思います。

 

※また、今回の記事では見出し部分にそれぞれのシーンの「話数と秒数」を記載しているので、時間があればぜひ本編を見直してみてください。1月31日まではYoutubeで全話無料配信されています。

 

 

【期間限定無料配信】ラブライブ!サンシャイン!!TVアニメ1期 - YouTube

【期間限定無料配信】ラブライブ!サンシャイン!!TVアニメ2期 - YouTube

 

 

 よろしくお願いします。

 

 

劇場版ラブライブ!サンシャイン!! 振り返り ~虹の向こうへ歩き出す物語~

 


 

 

「1」が「0に戻る」ことは、絶対に無い。

 

 劇場版「ラブライブ!サンシャイン!!」は、少女たちが「それ」に気付く、「たったそれだけ」の物語。

 

でもそれは、とても大きなこと。

 

 


 

 

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新しいキャラクター、鞠莉ママ

 

 鞠莉ママは千歌たち6人をイタリアへ向かわせ、鞠莉をおびき出そうとします。

 高校を卒業するタイミングで鞠莉を結婚させ、「鞠莉の自由を奪う」ために。

 

 鞠莉ママは、鞠莉を守りたい」あまり「鞠莉の意思」を抑え込もうとします。

 

 鞠莉の手を取り、自分の元に引き寄せようとする鞠莉ママ。
 しかしすぐにその手をつかみ、鞠莉が連れていかれないように引き止める果南とダイヤ。

 

今度は離さない。

 

 2年前、留学に行く鞠莉の手を、あのとき離してしまったその手を、今度は絶対に離さない。

 

あのとき、鞠莉から離れようとした果南
あのとき、そんなふたりを見守ることしかできなかったダイヤ

 

でも今は違う。

Aqoursとして走ってきた道」が身体の中にあるから、今なら迷いなく鞠莉の手をつかむことができる。

 

 1期9話「未熟DREAMER」。

「あのとき踏み出した一歩」は、もう3人の一部になっていて、それは絶対に消えたりしないんだよ。

 

だから今度こそ、その手を離さない。

もう二度と、絶対に。

 

 

 ・「Brightest Melody」

 

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もう一人の新しいキャラクター、渡辺月

 

 月のように満ち欠けをし、「輝く」か「陰る」か「太陽の角度」によってどちらにも転ぶことができるキャラクター。

 

 今回の映画の中のAqoursの観察者」であり「見届け人」です。

 

 統合先の高校の生徒会長でもある渡辺月は、まさに「正式に統合するかどうか」の「鍵」を握っているキャラクターで、ずっとAqoursと一緒に行動をし、カメラを持ってAqoursを見つめ続けてきました。

 

スクールアイドルってなんだろう?
Aqoursってなんだろう?

 

 興味深く千歌たちを観察する渡辺月は、まさにAqoursと出会ったばかりの人」ですよね。

 

「すごい・・・!」

「スクールアイドルって、本当にすごい!」

 

AqoursSaint Snowによる「ラブライブの延長戦」。


 その「夢の舞台」の「観客」になった渡辺月は、大きな大きな「太陽の光」を正面から浴び、目を輝かせます。 

 

目の前に広がる"光り輝くメロディー"。 

それは、「月」を照らすメロディー。

 

本当にすごい。

自分だけ見るのはもったいない。

もっとたくさんの人に見てもらいたい。

 

 渡辺月の「言葉」と「気持ち」に、昔の自分を重ねた人も少なくないと思います。


 そしてそんな「月」が輝きはじめるのと同時に、Aqoursの6人は「あること」に気付きはじめます。自分たちの中にある「1」の存在に。

 

 

・「Believe again」


時を同じくして、ある一人の少女の「夢」が叶います。

 

「これから、私たちだけのラブライブの決勝を行います」

 

 大好きな姉さまと夢見た舞台。

 あのとき叶えられなかった、Aqoursと戦う決勝の舞台。


 時が巻き戻り、「もしもの世界」だけで叶う「夢の舞台」が、Aqoursと聖良からプレゼントされます。

 

「あなたに伝えたかった。」

 

 それは、理亞に気付いてほしいから。

 あのとき伝えられなかった言葉を、この「夢の舞台」なら伝えられるから。

 

「今のこの瞬間は、決して消えません。」


 全部、残っていく。

 たった今、「夢の舞台」で感じたあなたの気持ちも、わたしの気持ちも、全部残っていく。それはこの先、絶対に消えたりしない。

 

「雪の結晶」はもう、消えたりしない。

 

 だから、これからはわたしの後を追わなくていいんだよ。

 

だってもう、夢は叶ったから。

 

「甘えてちゃ、ダメだよ」

 

だってもう、一人じゃないから。

 

「一緒に進もう、理亞ちゃん!」

 

 

Saint Snowの雪の結晶」は、夢が叶った今この瞬間、「あなたの一部」になったんだよ。

 

だからもう一度、「今の自分」を信じて。

 

 たった今、夢が叶って「雪の結晶」の分だけ大きくなった自分自身を、"もう一度信じてあげて"。

 

それが、あなたに伝えたかった言葉。

 

鹿角理亞。わたしの大切な妹へ。

Believe "yourself" again.

 

 

・「Next SPARKLING!!」

 

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「その気持ちは、ずっとここにあるよ」


「1」が「0に戻る」ことは、絶対に無い。

 

 劇場版「ラブライブ!サンシャイン!!」は、少女たちが「それ」に気付く、「たったそれだけ」の物語。

 

でもそれは、とても大きなこと。

 

 

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「一緒だよ、だってこの空はつながってるよ」

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「ずっと残っていく。これからも」

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「でも、わたくしたちの心に、この学校の景色はずっと残っていきます」

 

 「先を進む3人」は、テレビシリーズの中でいち早く「それ」に気付き、劇場版で千歌たちにやさしく教えてくれました。

 

「・・・7!」「8!」「9!」

 

「・・・聞こえた?」

 

「それ」に気付けば、その場にいないはずの3人の「声」が聞こえる。

「それ」に気付けば、3人の踊る姿だって見える。手をつなぐことだってできる。

 

だって「Aqoursは私たちの一部」だから。

これからもずっと、どこにいても。

私たちは一緒なんだよ。

 

だから胸を張って、前に進めるんだよ。

"次の輝き"に向かって、一歩ずつ。

遥かなる、虹の向こうへ。

 

新しい物語の「幕」は今、開いたんだよ。 

 

 


 

 

「1」が「0に戻る」ことは、絶対に無い。

 

 劇場版「ラブライブ!サンシャイン!!」は、少女たちが「それ」に気付く、「たったそれだけ」の物語。

 

「たったそれだけ」、でもあなたが「それ」に気付けば、あなたの世界は大きく大きく変化する。

 

それが「スクールアイドルの物語」。

そしてそれは、「あなたの物語」。

 

 あなたがAqoursからもらった「1」は、これから先、絶対に消えたりしない。

 

これは「永遠」の物語。

わたしたちは、ずっと一緒にいるよ。

 

これは「決別」の物語。

だから、自分の夢を追いかけて。

 

あまりにも優しい、優しすぎる物語。

 

 

劇場版は「Aqoursの未来の物語」。

「終わり」はいつか必ずやってくる。

 

でも、決して「0」にはならないんだよ。

 

Aqoursの物語を見てあなたが感じたこと。

Aqoursのライブを見てあなたが感じたこと。

 

それはもう、あなたを形作っているんだよ。

それはもう、あなたの「考え方」や「行動」の一部になってるんだよ。

 

だから、そんな自分を信じて。

そんな「Aqoursのことが好きな自分」に胸を張って。

次の輝きを目指して、歩き出そう。

 

 

遥かなる、虹の向こうへ。

私たちと一緒に。

 

 

新しい物語の「幕」は今、開いたんだよ。

 

 

 

 

「劇場版ラブライブ!サンシャイン!!」を観る前におさえておきたい「6つのポイント」

 

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ずっと一緒にいられますように」

 

 

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「だからお祈りしておくの」
「いつか必ずまた一緒になれるようにって」

 

 

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私が書いたことは現実になるんですわよ」
「私が転校するときにも書いてたでしょ」
"ずっと一緒"って」

 

 

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この空は、つながってるよ」
「どんなに遠くても、ずっと、いつでも」

 

 

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「大丈夫。空はちゃんとつながってる。
「どんなに離れて、見えなくなっても」
いつかまた一緒になれる

 

 

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"ずっと一緒にいられますように"

 

 

 「ラブライブ!サンシャイン!!」2期の終盤、卒業間近の3年生はいつも「ある願いごと」をしていました。

 

 冬になり、ラブライブの決勝が迫り、ラブライブが終わっても、卒業が見えてきても、3人はいつも「ずっと一緒にいられますように」という「願いごと」を口にしていましたよね。

 

 でも、現実的に考えればこの「願いごと」は叶うとは思えません。だって、3人はこの先「別々の国」で「別々の道」を進むことを決めていて、もう3人とも『次の夢』に向かって走り出しているんです。

 

 だから「この先もずっと一緒にいる」なんてあり得ないはずで、それは自分たちが一番よく分かっているはずなんです。

 

 それでも3人は、叶うとは思えないこの「願いごと」を本気で口にしているように見えます。だってあの3年生が、2年前はあんなに「言葉が足りなかった」3人が、「この空はつながってるから」「だから必ずまた一緒になれるんだ」と、何度も何度も「言葉にしている」んです。

 

 「星」や「絵馬」に願わないといけないくらい「叶えるのが難しい願い」だということは分かっているのに、まるで自分たちに言い聞かせるかのように、それでも本気で叶えようと、確信を持って3人で誓い合っているように見えます。

 

 3年生のこの『切ない誓い』は一体、何なのでしょうか?

 

 この「矛盾を抱えた願い」の先には、何が待っているのでしょうか?

 

 

 


 

 ・・・と、こんな感じで本記事では来年公開の劇場版ラブライブ!サンシャイン!!と何となく関係がありそうなことを「6つ」、紹介していきたいと思います。

 

 記事の導入として触れた「3年生の願いごと」については、その中で改めて触れていこうと思います。

 

 また、本記事では「サンシャイン!!」のアニメシリーズの外にある要素にもガッツリ触れているので、以下の作品・楽曲の知識があると良いかもしれません。

 

・  劇場版ラブライブ!
・『SUNNY DAY SONG
・『HAPPY PARTY TRAIN
・『SKY JOURNEY』
・『MOMENT RING

 

それではいってみましょう。

 


 

  [目次]

 


 

 

1.「終わりにする」か「続ける」か

 

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「大会が終わったら、μ'sはおしまいにします!」

 「ラブライブ!」のテレビシリーズのラストでは、「3年生が卒業したら終わりにするか、卒業しても続けるか」という「2択のテーマ」が取り上げられ、穂乃果たちは「μ’sを終わらせる」ことを選んでいました。

 

 それでも、それと同時に「残った6人で活動は続ける」とも言っていて、μ’sは終わりにするけど6人でスクールアイドルは続ける」ということも分かります。

 

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「限られた時間の中で、精一杯輝こうとするスクールアイドルが好き」「見つかったよ、答え」

 そして劇場版ラブライブ! The School Idol Movie」では同じテーマがより深く掘り下げられ、μ’sはテレビシリーズと同じように再び「グループを終わりにする」ことを選びました。

 

 また、「スクールアイドルが好き」「スクールアイドルにこだわりたい」とも言っていて、「残った6人でスクールアイドルは続ける」ということもテレビシリーズと変わっていませんでした。「9人でプロになる」のではなく「6人でもいいからスクールアイドルにこだわりたい」ということです。

 

 これらの結論としてはテレビシリーズと同じですが、劇場版ではそこに至るまでに「女性シンガー」SUNNY DAY SONGといったとても重要な要素が追加されています。

 

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「私たちは、続けることにしたの」

 一方でA-RISEは、その劇場版の中で「卒業しても続ける」という選択をしていました。「3人で一緒に歌っていきたい」「もっともっと大きな世界に羽ばたいていきたい」と言って、スクールアイドルの「ひとつの道」を穂乃果に示してくれましたよね。

 

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「だから、姉さまにも皆にも喜んでもらえるスクールアイドルグループを作る」「見てて」

 そして続く「サンシャイン!!」の2期でSaint Snowの理亞は、姉の聖良が卒業しても「別のグループとして続ける」ことを選択しました。理亞は、「新しいグループの中で『違う形の雪の結晶』を見つけたい」「姉さまに喜んでもらうために」と言って、「姉のため」に「姉から離れる」ことを選んだのです。

 

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「嬉しいんだって。」「お姉ちゃんがいなくても、別々でも、頑張ってお姉ちゃんの力なしで、ルビィが何かできたら嬉しいんだって。」

 なぜ理亞がその道を選んだのかといえば、それはたぶんルビィの「姉に対する想い」を聞いていたからですよね。ルビィが言っていたように「ひとりでもできる」ところを姉に見てもらいたいから、「そんな自分の姿を見て姉さまに喜んでもらいたい」から、「だから見ててね」とまっすぐ姉に伝える理亞の姿に、ルビィと一緒に走った成長の証が見えますよね。

 

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「絶対に、優勝したい!」

 その成長はルビィも同じで、2期7話で廃校が確定したときにはラブライブで絶対に優勝したい」「お姉ちゃんたちの最後のラブライブだから」と言っていたルビィは、

 

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「もちろん、お姉ちゃんたちの最後の大会だし、勝ちたいって思ってるけど」「今は、大好きな皆と一緒に歌えることが一番うれしい」

 ラブライブ直前の2期12話では「今は勝つことよりも、みんなと一緒に歌えることのほうが嬉しい」と言っていて、気持ちが変化していました。 

 

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 7話で「勝ちたい」と言っていたルビィが12話で「みんなと一緒のほうがうれしい」と思うようになったのは、8話と9話で「勝つこと」にこだわっていた理亞がステージでつまづいて、それでもそこから立ち上がって『雪の結晶』を取り戻すために走ったその姿を、誰よりも近くで見ていたからですよね。

 

 ルビィは、理亞の走る姿を見て「勝つことよりも大切なものがある」ということに気付くんです。

 

 こう見るとルビィと理亞は「Awaken the power」の後もちゃんと前に進んでいて、あのとき一緒に走った2人は、そのまましっかりと前を見て走り続けていることが分かります。

 

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 さて、ここまでの3つのグループの進退をまとめると、μ’s「終わらせてから6人で続ける」A-RISEは「そのまま続ける」Saint Snow「終わらせてから理亞だけ続ける」という感じになります。

 

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 また、「ラブライブ!」の中では意識的に言葉がボカされていますが、同じ「続ける」でもA-RISEは「グループはそのままで、プロのアイドルとして続ける」 で、μ’sグループは解散するけど、残った6人でスクールアイドルを続ける」Saint Snowグループは解散するけど、理亞だけ新しいグループの中でスクールアイドルを続ける」という違いがあることに注意してください。

 

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 A-RISEは「高校3年間の」で「そのまま続ける」道を選び、μ’sの6人とSaint Snowの理亞は「高校3年間の」で「新しく続ける」道を選んだということです。

 

 劇場版で「Aqoursが出す答え」を見る前に、これらのμ’s」「A-RISE」「Saint Snow」のそれぞれが選んだ「道の違い」と、「なぜ理亞はその道を選んだのか」を頭の中で整理しておきましょう。

 

 

 

 

2.「純粋な気持ち」と「輝き」 

 

 2つめのポイントに行きますが、ここでは劇場版「ラブライブ!The School Idol Movieを掘り下げつつ「サンシャイン!!」の物語を深めていこうと思います。

 

 これは「同じ劇場版どうしだから何か関係がありそう」 という意図もありますが、実は「サンシャイン!!」と「The School Idol Movie」は強く結びついているから掘り下げてみよう、という意図がメインになります。

 

 今回は、劇場版「ラブライブ!The School Idol Movieを観ていない人にも分かるようにストーリーを追いながら説明しますが、観ていない人はできれば、というかぜひ観てください。

 

 劇場版「ラブライブ!The School Idol Movie」のストーリーは実はとてもシンプルで、「他人の期待」や「他人の意見」といったものを抱えて道に迷ってしまった穂乃果たちが、自分の中の「純粋な気持ち」を見つけ出すというお話になっていました。

 

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 ラブライブ優勝によってニューヨークに招かれた穂乃果たちでしたが、その公演の成功によってファンの声が大きくなりμ’sを終わりにするか続けるか」について意見が割れてしまい、穂乃果は「分かれ道」に立たされることになります。

 

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「お願い!」「友達だって言ったら、たくさんの人が見たいって!」

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「みんな、μ'sには続けてほしいと思っている」

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「わたしは反対よ」

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「でも、大会を成功に導くことができれば、スクールアイドルはもっと大きく羽ばたける

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「真姫の言う通りよ。ちゃんと終わらせるって決めたんなら、終わらせないと」

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「もしμ'sを終わりにしちゃったら、ドームは無くなっちゃうかもしれないよね…」

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「だからμ'sは、いつも『楽しく』いて欲しいです」

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「でも、わたしたちは続ける。あなたたちにも続けてほしい」

 

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「穂乃果は、どう思うの?」

 

 そんなたくさんの意見の中で、穂乃果自身も何が正解なのか、どの「道」を選べば良いか分からなくなっていたとき。穂乃果は、過去に同じような「分かれ道」を経験していた女性シンガーと出会います。

 

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「簡単だったよ。とっても簡単だった」

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「今まで自分たちが"なぜ歌ってきたのか"。"どう在りたくて"、"何が好き"だったのか」「それを考えたら、答えはとても簡単だったよ」

 その女性は、「答えはとても簡単だった」だと言います。

 

 自分が「なぜそれをしてきたのか」「どう在りたくて」「何が好きだったのか」と、少しずつ「心を分解」していき、心の奥にある「純粋な気持ち」に目を向ければ答えは見つかるんだよ、と言うのです。

 

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 上の図のように、「心」をタマネギのようなレイヤー構造だと見ると分かりやすいかもしれません。余計な「皮」を取り除いた奥にある「芯」の部分が「純粋な気持ち」です。

 

 女性シンガーは、この「自分の中の純粋な気持ち」さえ見えれば「答えは簡単」だと言っているわけです。

 

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「跳べるよ。いつだって跳べる」
「あの頃のように」

 

 そして女性シンガーは「いつだって跳べる」「あの頃のように」と穂乃果に言います。「あの頃」というのはもちろん冒頭の回想シーンで流れた「子供の頃」のことです。

 

 「子供の世界」は人とのしがらみ将来への不安は存在せず、「今この瞬間」の「純粋な気持ち」だけで支配されていますよね。

 

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 どんな大人でも、子供の頃はまわりを気にすることなく「自分がやりたいこと」のためにまっすぐ走っていたはずです。

 

 まわりが何を言おうと、どんな目で見られようと、「今この瞬間、心からやりたいこと」のために、迷いなく行動していたはずです。

 

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 そんな「子供の頃」のように「いつだって跳べる」と言っているのです。

 

 どこからともなく聞こえてきた「あの歌」に乗って走り、大きな水たまりの上を跳んだあの日の穂乃果のように。

 

 「跳ぶ」というのは、幼い穂乃果が水たまりを「跳んだ」ところからきていますが、ミュージカル作品において「跳ぶ / 飛ぶ」という行為は非常に汎用的な比喩のひとつで、以下のような意味を持っています。

 

  •  心が軽くなる
  •  何かを「乗り越える」
  •  何かから「解放される」

 

 イメージでいえば、「重力=抑圧」から解放されて心が軽くなり、ふわっとジャンプする、みたいな感じでしょうか。

 

 女性シンガーはなぜ「いつだって跳べる」と言ったのでしょうか?

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「簡単だったよ。とっても簡単だった」

 なぜ「簡単なこと」なのでしょうか?

 

 女性シンガーのシーンでは「その理由」が語られていないように見えますが、これは「理由が語られていないこと自体が理由になっている」という読み方で良いと思います。

 

 つまり、それは「ただ跳ぶだけ」だから、なんです。

 

 だから理由を語る必要はないし、「簡単なこと」だし、「いつだって跳べる」んです。女性シンガーは言葉にはしていませんが、ただ「自分が跳ぶ」のを「自分の心が阻んでるだけ」だというようなことを穂乃果に言っているのです。

 

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 大人になって「まわり」が見えてくると「足が動かなくなるだけ」なんだよ、と穂乃果に言っているんですね。

 

 きみは本当は「いつでも跳べる」んだよ。「子供の頃の純粋な気持ち」はいつも心の中にあって、「跳べる足」はもう持っているのだから、それは「とても簡単なこと」なんだよ。

 

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 女性シンガーの言葉を受けた穂乃果は「目を閉じて」高く跳び上がります。「目を閉じる」というのは「まわりの意見は気にしない」という表現でしょう。

 

 このとき、穂乃果にとって「跳ぶ」ためのトリガーになったのは「歌」であり、高坂穂乃果というキャラクターのルーツには「歌」があるということも分かります。

 

 そうして自分の中の「純粋な気持ち」と向き合った穂乃果たちは「終わらせる」ことを選び、さいごにあの「きっかけの歌」を歌います。雨上がりのあの日、幼い頃の穂乃果が聞いた「あの歌」を。

 

SUNNY DAY SONG

 

SUNNY DAY SONG

SUNNY DAY SONG

高く跳び上がれ

どんなことも乗り越えられる気がするよ

 

 『SUNNY DAY SONG』の歌詞だけを読んだら「普遍的な応援歌」になりますが、劇場版の内容を踏まえると「子供」「純粋さ」「跳ぶ」という情報がプラスされて、歌詞以上の具体性を持っていることが分かります。

 

 雨上がりのあの晴れた日、「純粋な気持ち」で満たされていた子供の頃、あなたはどうやって水たまりを跳んでいましたか?

 

 あの日と同じように「純粋な夢」だけを見て高く跳び上がることができれば、どんなことでも乗り越えられる気がするでしょう?

 

 

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「跳べるよ。いつだって跳べる」

 

 このように、「The School Idol Movie」の大きなテーマのひとつは「純粋な気持ち」であり、それは「しがらみ」や「将来への不安」「他人の意見」といった余計なものを取り除いた奥にある「根源的な気持ち」のことなんですね。それは「子供の頃」はみんな見えていたものです。 

 

 

SUNNY DAY LIFE

SUNNY DAY LIFE

『輝き』になろう

 

 そして、この「純粋な気持ち」は『SUNNY DAY SONG』に乗って『輝き』という言葉に姿を変え、

 

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「わたしも、『輝きたい』って!」

遠く離れた「Aqours」という小さなスクールアイドルの前にやってくることになります。

 

 

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 梨子は「他人の期待」という「重さ」のせいで、手が動かなくなってしまっていました。

 

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 ルビィは「姉への配慮」と「親友と一緒にいたいという気持ち」で、自分の「純粋な気持ち」を覆い隠していましたよね。

 

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 果南は「鞠莉の将来のため」という想いを優先するあまり、鞠莉に対して「自分の本当の気持ち」と正反対の行動を取ってしまっていました。

 

 そして花丸は「できるかどうか」という気持ち、善子は「他人の目」がそれぞれの「純粋な心を覆い隠すもの」でした。

 

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お客さんにどう思われるとか、人気がどうとかじゃない自分が一番好きな姿を、輝いてる姿を見せることなんだよ

 

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「μ'sみたいに『輝く』ってことは、μ'sの背中を追いかけることじゃない。『自由に走る』ってことなんじゃないかな」「全身全霊、何にもとらわれずに。自分たちの気持ちに従って

 

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「奇跡を最初から起こそうなんて人、いないと思う」「ただ一生懸命、夢中になって何かをしようとしている何とかしたい、何かを変えたいそれだけのことかもしれない」

 

 1期5話「ヨハネ堕天」や1期12話「はばたきのとき」、2期3話「虹」で千歌は『輝くこと』について語っていましたが、その内容はまさに女性シンガーが言っていた「純粋な気持ち」と全く同じものになっていますよね。

 

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 そして千歌は1期12話のその後、部屋に飾っていた「μ’sのポスター」を外していたことから、千歌にとっての「心を覆うもの」は「憧れの気持ち」だったことが分かります。

 

 しかしもちろん、「憧れ」という感情自体はとても大切です。Aqoursは「μ’sへの憧れ」、Saint Snowは「A-RISEへの憧れ」から生まれたグループですしね。

 

『届かない星だとしても』

 

憧れるって素敵だよ

とにかく全部真似したい

 

 「届かない星」だとしても、まず「手を伸ばす」ことが「全てのはじまり」なんです。「手を伸ばさないとはじまらない」んです。

 

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「でも、ただ見てるだけじゃはじまらないって。」

 千歌たちも「ただ見てるだけ」ではなく、μ’sと同じように「3人」で「学校の中で初ライブ」をすることが「ファーストステップ」でした。最初は「μ’sに手を伸ばす」ところからはじまったんです。

 

 しかしそれでも「憧れのポスターを外す」ということは、ずっとそのままだと「次の一歩」が踏み出せない、ということなんだと思います。

 

 自分が「なぜそれをしてきたのか」「どう在りたくて」「何が好きだったのか」と、「憧れ」を紐解いたその中に一番大切なものがあるんだと女性シンガーも言っていましたよね。

 

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 はじめは「憧れた人の道」をなぞっていても、 途中からはその道から外れて、道路も地図もまだ無い「自分だけの道」を走ることが大切で、それを見つけるためには「自分の中の純粋な気持ち」を理解する必要があるんです。

 

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「最初からあったんだ。はじめて見たあのときから。」

 そして千歌は最後に、『輝き』は「はじめからあった」という答えを見つけました。最初は色んな気持ちに覆われてはいましたが、みんなそれぞれ『9人の純粋な気持ち』は確かに自分の中にありましたよね。

 

監督 / 酒井和男

"純粋な欲"は心のエンジンなんです。情熱でどこまでも走っていくような……それがなければ物語は始まらない。

 

 そして「サンシャイン!!」の酒井監督は、「純粋な欲」について1期のオフィシャルブックで言っていますが、これが『輝き』の正体を端的に表した言葉になっています。そしてこれはまさに「The School Idol Movie」のテーマになっている「純粋な気持ち」そのもので、酒井監督が「サンシャイン!!」を作るにあたって「The School Idol Movie」を参考にしたのは明白だと言っても良いと思います。

 

 もしかしたら、「サンシャイン!!」というタイトルは『SUNNY DAY SONG』の『SUNNY』から付けられたのかもしれません。

 

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 実際には分かりませんが、ふたつの作品がこんなに明確に、こんなに分かりやすくつながっているならそれくらいあっても良さそうですし、なによりSUNNY DAY SONG』は「未来のスクールアイドルに贈る歌」でしたよね。

 

 そしてなぜ酒井監督が「純粋な気持ち」を『輝き』という言葉に変換したのかをちょっと想像してみると、『SUNNY DAY SONG』の歌詞の中に『輝き』が出てくるのと、あと不純物の少ない「純粋なもの」ってキラキラと輝くようなイメージがありませんか?

 

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 宝石は「純度」が高ければ高いほど『輝く』ように、人の心も『宝石』と同じ」「心の『純度』が高ければ『輝く』」という発想だと思います。ちょうど「サンシャイン!!」のキャラクターの中に宝石の名前を持った姉妹もいますしね。

 

 

 以上、「The School Idol Movie」のメインテーマ「サンシャイン!!」の中の『輝き』の関係性についてのお話でした。

 

 

 

3.「子供」と「未熟DREAMER

 

 「子供の世界にはしがらみや不安は無い」ように、「子供である」ということはただそれだけで「純粋さの象徴」になるので、「子供」と「ラブライブ!」の親和性はとても高いことが分かります。

 

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 ここまでにもう何度も出てきているように、「The School Idol Movie」の冒頭には「子供の頃の穂乃果たち」が出てきますが、「サンシャイン!!」ではそれ以上に「子供 = 純粋さ の構図」が徹底されています。

 

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「大丈夫!」

 「サンシャイン!!」の1期で、千歌が「輝き」とは何なのかを見つけるきっかけとなったのは「穂乃果に似た子供」でした。なんの不安もなく自由にまっすぐ走るその姿に、千歌は「輝きのヒント」をもらいます。

 

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「だって、ピアノ弾いてると空飛んでるみたいなの」「自分が、キラキラになるの。お星さまみたいに」

 子供の頃の梨子は「ピアノを弾くとキラキラする」「空を飛んでいるみたい」と言っていました。

 

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「わたし、本当は天使なの!」

 子供の頃の善子は、「自分は本当は天使なんだ」「今は堕天してるだけ」だと言い、「いつか羽根が生えて大空に羽ばたくんだ」と言っていました。

 

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「ルビィは強い子でしょ」「勇気をお出しなさい」

 子供の頃のルビィは、姉のダイヤから「勇気」をもらっていました。それは「転んでもそこから立ち上がる勇気」です。

 

 2期9話「Awaken the power」では、ルビィと理亞が力を合わせて「その勇気を一緒に取り戻す」というお話になっていました。

 

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「あの瞬間から、『雪の結晶』をSaint Snowのシンボルにしようって」

 Saint Snowのふたりは子供の頃に『雪の結晶』を見つけ、それを「二人だけのシンボル」にしました。

 

 成長した二人は、高いパフォーマンスを目指すうちに「勝ち負け」にこだわるようになり、いつしかその『一番大切なもの』が見えなくなっていましたが、ルビィが持つ「光」の力を借りて『雪の結晶』を取り戻すことになります。

 

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 こうやって見ていくと、本当に徹底して「子供」の描写が入っているのが分かると思います。

 

  そして、1期10話「未熟DREAMER」ではこの「子供」の描写が特に重要になってきます。

 

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 子供の頃の果南は「あの子と友達になりたい」という一心で、異国から来た金髪の少女とハグをしていました。あの頃の果南は、まわりの目を気にすることなく「今すぐにでもあの子と仲良くなりたい」という気持ちだけで動いていたんです。

 

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 ふつう、言葉が通じるか分からない相手と仲良くしようとは思いませんよね。でも子供の果南はそのために「ハグ」という「外国の挨拶」を自分なりに調べて、いつでも「あの子と仲良くなる準備」をしていたのかもしれない、そのくらい果南は鞠莉のことが大好きだったのかな、という想像もできます。

 

 

 しかし高校生になった果南は、そんな「子供の頃から大切な親友」の「将来」を守るために、自分を犠牲にする道を選んでしまいます。

 

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先生「本当に断るの?」鞠莉「わたし、スクールアイドルはじめたんです。学校を救うために」 

 あるとき果南は、鞠莉が職員室で「留学」を薦められているのを聞いてしまいます。そのとき鞠莉は「スクールアイドルをはじめたから」「学校を救うために」と言ってそれを断っていました。しかしそれは鞠莉が先生に向けて言った言葉であり、「大人に向けた言葉」だということが分かります。「職員室」は「大人の空間」なんですね。

 

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「留学?全く興味なかった」「だって果南が歌えなかったんだよ?放っておけるはずがない」

 でも、鞠莉が留学を断った本当の理由は「果南のため」だったことが後から分かります。鞠莉が本心を話すシーンでは「留学には全く興味無かった」 「東京で歌えなかった果南を放っておけるはずがない」と言っていて、これが鞠莉の本当の気持ちなんです。

 

 でも「大人の空間」の職員室で、そんなこと言えるわけないですよね。逆に職員室で「友達のため」と言わなかった鞠莉は「大人」の部分を持ったキャラクターだということが分かります。

 

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 しかし、そんな「鞠莉の大人の言葉」を「職員室の外」で聞いていた果南は、一瞬だけ悲しそうな顔をした後に「スクールアイドルをやめる決意」をします。だって、鞠莉をスクールアイドルに誘ったのは果南でしたからね。果南は「自分のせいだ」と思ったのかもしれません。

 

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「うんって言うまでハグする!」

 鞠莉が「自分の意志」で留学を断っているならまだ分かりますが、果南が半ば強引に誘ったスクールアイドルのせいで鞠莉の将来が奪われるなんて、果南にとっては絶対に許せないと思います。だからスクールアイドルをやめて、「本当は子供の頃のように鞠莉と一緒にいたい」けど、自分だけその気持ちを我慢して鞠莉を留学に送り出せば、鞠莉の未来を守ることができると判断してしまうんですね。

 

 果南は、子供の頃からずっと大好きな、転校してきてからずっと大好きな親友のために、「その親友から離れる」という選択をしてしまうんです。

 

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「留学?全く興味なかった」「だって果南が歌えなかったんだよ?放っておけるはずがない」

 でも、鞠莉が留学を断るときに言った「スクールアイドルをはじめたから」というのは本当の理由ではありませんでしたよね。鞠莉は本当は「果南のため」に留学を断っているんです。

 

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 それは子供の頃、異国の学校に転校してきてからずっと自分のことを好きでいてくれる、大切な大切な親友のためでした。

 

そんな「お互いに大切な親友」だったふたりは、それでも「大人の言葉」が原因ですれ違ってしまったふたりは、千歌たちの働きかけもあって、互いに本心を話すことになります。

 

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 ふたりが本心を話し、ハグをして仲直りをするそのシーンには、子供の頃からずっと「大切な親友」だったふたりの気持ちの全てが詰まっています。  

 

 ふたりにとって「ハグ」の持つ意味ハグの前の「子供の頃」の回想果南がハグをしようとしたときに一瞬驚いた顔をする鞠莉すぐにその意味が分かって泣きながらハグをするふたりその全ての描写に「子供の頃からふたりが一緒に歩いてきた時間」と、2年間離れていても消えない強い絆」が表れています。

 

 

 この後3人は新しいAqoursに加わり、再びスクールアイドルとして3人一緒に走り出すことになります。果南にとっては「枷」だった「スクールアイドル」は、ここを起点に「かけがえのないもの」へと変化し9人になったAqoursはこの後、『奇跡の波』を起こすことになります。

 

 その変化は鞠莉にとっても同じで、2年前に果南に誘われたときには「そういうの、興味無いの」と言っていた鞠莉は、劇場版の本予告では「大人」に向かって「スクールアイドルはくだらなくなんかない!」と言っています。鞠莉にとって誰よりも大切な親友と過ごした時間が、「くだらない」はずがないんです。

 

 このように、1期9話「未熟DREAMER」では「子供」というモチーフがとても重要になっていて、「大人と子供が共存する『高校生』という時間」 「青春が終わり大人の世界がはじまる境界線」のような、「ふたつの世界」が交差するような気持ちの揺れ動きが「果南と鞠莉のすれ違い」の中にあるんですね。

 

 劇場版の本予告では「鞠莉が結婚する」というようなセリフもあるので、この「未熟DREAMER」で描かれたような「大人と子供が共存する世界」が違った形でもう一度描かれるかもしれませんね。

 

 

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 そしてHAPPY PARTY TRAIN』のMVには、なぜかいきなり子供の姿のAqoursメンバーが登場します。いいえ、ここまで読んでもらえれば「なぜ子供なのか」はもうはっきりと分かると思います。この子たちは「あの頃の純粋な気持ちの象徴」で、そんな子たちが電車に乗る果南を笑顔で見つめているんです。

 

 『HAPPY PARTY TRAIN』のMVでは、「卒業後の進路に悩む果南」が描かれています。特に冒頭の地球儀は「日本とオーストラリアの距離」を示すような位置でピタリと止まり、まるで「果南の迷い」が映像として描かれているようです。(つまりこのMVを作っている時点で果南のオーストラリア行きは決まっていたんですね・・・)

 

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↑日本とオーストラリアの位置でピタリと止まります。

 つまり果南はこのMVで「卒業後はオーストラリアに飛ぶか飛ばないか」「自分の夢を追うか追わないか」を迷っているんですね。

 

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 そしてそんな迷いの表情で電車に乗る果南が、突然現れた子供の頃の自分と手をつないだその瞬間、電車は高く跳び上がりその軌跡は虹色に輝きはじめました。「子供」を「純粋な気持ち」に置き換えると、果南は「自分の中の純粋な気持ち」に従って高く飛んだ、ということです。「電車が飛んだ」というのは「オーストラリアに飛ぶことを決めた」くらいに読めば良いでしょう。

 

 よく考えると、このシーンの「飛ぶ」「子供」の使われ方は「The School Idol Movie」の「あのシーン」と全く同じですよね。

 

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「飛べるよ、いつだって飛べる。あの頃のように」

 「飛べるよ」「あの頃のように」という言葉はまさにそのままで、このセリフが『HAPPY PARTY TRAIN』のMVの中でそのまま果南に言われたとしても、全く違和感ないですよね。

 

 「未熟DREAMER」のときの子供の果南は「あの頃の気持ちを思い出して?」と言っているようでしたが、『HAPPY PARTY TRAIN』の子供の果南は「自分の夢を思い出して?」と言っているみたいですよね。

 

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 「アニメ本編」で言えば、骨折した父親のために休学を選んだり、鞠莉の将来のために、千歌が怪我しないようにと「いつも他人のために自分を犠牲に」してきた果南でしたが、ラストでは「自分のため」に、「自分の夢を叶えるため」に海外へ飛び立つことを決めていましたよね。

 

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「私は海外でダイビングのインストラクターの資格、ちゃんと取りたいんだ」

 つまりアニメの果南は、千歌たちの「輝き」に触れる中で自分の夢」を思い出し、さいごには「純粋な気持ち」で海外へ高く飛び上がることができたという流れになっていて、これは『HAPPY PARTY TRAIN』のMVと同じ展開なんです。

 

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「ありがとう、千歌」

 果南がAqours WAVE」 で千歌に言った「ありがとう」という言葉の中には、そのことに対する想いも込められているのかもしれません。果南にとって「Aqours WAVE」は大きなターニングポイントになっていて、「バク転を跳んでくれてありがとう」という意味に加えて、「自分の夢を信じさせてくれてありがとう」と言っているのかもしれませんね。

 

 

 というわけで「子供」が何を象徴しているのかを細かく見ていきましたが、「未熟DREAMER」と『HAPPY PARTY TRAIN』で2回も「子供」を使いながら心の動きが描かれている「松浦果南」というキャラクターの持つ「裏の主人公」という側面が見えてきたと思います。

 

 

 

4.「SKY JOURNEY」

 

 HAPPY PARTY TRAIN「2期終盤の松浦果南を描いているのなら、この記事の冒頭に書いた「3年生の願いごと」も『HAPPY PARTY TRAIN』と近い位置にあるような気がしますよね。

どちらも「2期終盤」で「3年生」ですから。

  

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「大丈夫。空はちゃんとつながってる
「どんなに離れて、見えなくなっても」
いつかまた一緒になれる
 

 そしてこれも冒頭で書きましたが、そんな「願いごと」を聞いた視聴者の中には「3人はバラバラになるんだよね?」「なんでそんな願いごとを何度もしてるの?」と思った人もいるかもしれません。

  実は、それと同じような「疑問」がHAPPY PARTY TRAIN』のカップリング曲である『SKY JOURNEY』の中でも語られているんです。

 

『SKY JOURNEY』

 

胸に確かなもの持ってたら

それだけでなんとかなるって

なぜ優しく語れるのだろう?

 

夢叶えたいからいつでも

諦めないことが大事だと

なぜ本気で語れるのだろう?

 

 この歌詞はもう、「視聴者の疑問」を代弁しているみたいですよね。

 

 そう聞こえるのにはちゃんと理由があって、作詞をした畑亜貴先生は2期のオフィシャルブック(86ページ)で「この2曲はAqoursとファンが交差するような曲」だと言っているんです。

 

 単体で聞けば「応援歌」であるこの2曲は、ふたつセットで聞いたときにはHAPPY PARTY TRAIN』が「Aqoursの視点」『SKY JOURNEY』が「ファンの視点」に立ったような歌詞にもなっているんだと、畑先生自身が「解釈のひとつ」をはっきりと説明しています。

 

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 つまり、この2つの曲は「テーマは同じ」だけど「立場が違う」ように作られている、ということです。

 

 『HAPPY PARTY TRAIN』の中では「駅」「夢」 を表していて、「ひとつの駅」に到着しても「次の駅」に向かおう、と言っています。レールはどこまでつながってるか分からないけれど、駅から駅を乗りついでどこまでも行きたいね、ずっと走っていきたいね、と言っているんです。

 

 これはラブライブで優勝し「ひとつの夢」に到着したけれど、そこで止まらずに「次の夢」に向かって新しく出発しようとしている2期終盤の3年生の気持ちそのままですよね。それは「子供」が出てくる『HAPPY PARTY TRAIN』のMVからも分かることです。

 

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 そして『SKY JOURNEY』では、そんな『HAPPY PARTY TRAIN』に乗っている果南たちを見た「空の旅人」が、「どこから来たの?」「なぜ夢を本気で語れるの?」と疑問を口にしたり、「きっと"切ない誓い"があったのだろう」と想像しているような歌詞になっているんです。

 

 つまり『SKY JOURNEY』とはAqoursと出会った私たちファンの旅路」のことで、その中の「切ない誓い」という歌詞は、「ずっと一緒にいられますように」という「叶わない願いごと」と重なるような感じがしますよね。

 

 そんな「切ない誓い」をいつも胸の中に持ってるから、笑顔で「次の夢」に向かって、オーストラリアへ飛ぶことができたんだね、という感じでしょうか。

 

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 空の向こうから、電車に乗った9人の少女たちがとても楽しそうに、夢を本気で語りながらやってきます。

 そこに偶然通りかかった「空の旅人」は、彼女たちのそんな姿に惹かれつつも「きっと"切ない誓い"があったから、そんなふうに笑って前に進めるんだね」とつぶやいている、そんな「ふたつの曲に込められた空の景色」「ふたつの視点が出会う場所」のようなものが見えてくると思います。

 

 もちろん、単体の楽曲として聞くときは「3年生」や「卒業後の進路」に限定する必要は全くなくて、歌詞通りの「応援歌」として取るのが良いと思いますが、

 

  • HAPPY PARTY TRAIN』のMVが「アニメ2期終盤」のものであること
  • 畑先生が説明している『HAPPY PARTY TRAIN』と『SKY JOURNEY』のつながり

 

の2点を踏まえて、この2曲を物語に引き付けて解釈した場合アニメシリーズの終盤から劇場版にかけての時期の3年生と、それを見る視聴者の関係を歌った曲」というふうに「限定的な解釈をすることもできる」、ということです。

 

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 つまりHAPPY PARTY TRAIN』と『SKY JOURNEY』の関係は、「劇場版に向かう3年生」と「劇場版に向かう視聴者」の関係とてもよく似ているということで、そう考えるとこの2曲は「劇場版の裏にあるテーマ曲」だと言っても良いのかもしれませんね。

 

 「キャラクターがいるスクリーンの中」は『HAPPY PARTY TRAIN』で、「視聴者がいるスクリーンの外」は『SKY JOURNEY』、という感じでしょうか?

 

 

 

5.「今」と「永遠」

 

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 冒頭に書いた「3年生の願いごと」を考えるうえで、ラブライブ!」の中の「今」という時間の考え方をしっかりと抑えておきましょう。

 

 劇場版の穂乃果も言っていましたが、「ラブライブ!」とはそもそもスクールアイドルの物語」であり、学校」=「限られた時間の中」の物語です。

 

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「限られた時間の中で、精一杯輝こうとするスクールアイドルが好き」

 期間限定の活動であるため、行動を起こせずに迷っているとすぐに「時間切れ」になってしまいます。そのためこの作品では「今この瞬間にある気持ち」それに従って行動すること」の大切さを伝えてきました。

 

 「過去」や「未来」にとらわれて迷ってないで、「今この瞬間に自分がやりたいこと」をやろう。なぜなら、あらゆるものは「期間限定」なのだから、時間は有効に使おうよ。

 

 ということです。言ってしまえば人生だって期間限定ですしね。

 

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 簡単に言えば、「時間切れにならないように今すぐにでも行動しよう」 「時間切れにならないうちに思いっきり楽しもう」ということですね。

 

 

 「今」の大切さはラブライブ!」の楽曲の中に「今」が頻繁に出てくることからも分かりますが、その中でもアニメの中で重要な位置にあるのは以下の3曲でしょうか。

 

1.『愛してるばんざーい!

私たちは今を楽しもう

昨日に手をふって ほら前向いて

 

2.『Angelic Angel

明日じゃない

大事なときは今なんだと気が付いて

 

3.『WATER BLUE NEW WORLD』

今は今で昨日と違うよ

明日への途中じゃなく 今は今だね 

 

今を重ね そして未来へと向かおう

この瞬間のことが重なっては消えてく

 

 ここで注目するところは、Aqoursの「WATER BLUE NEW WORLD」には「今を重ねて未来へ向かう」「この瞬間が重なっては消えていく」という表現があることから、「サンシャイン!!」には「今」という「点」を積み重ねて「線」にするという意識があるということです。

 

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 そしてそれは、「0から1へ、1からその先へ」というキャッチフレーズ「虹」というモチーフにもはっきりと表れていて、一歩一歩を積み重ねて描かれたその「道」はAqoursの軌跡」を表していました。

 

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 この「虹の軌跡」については本ブログでも取り上げているので、劇場版の前にぜひ一読してもらいたいです。

 

sona99.hatenablog.com

 

 そして、上に挙げた3曲とは違ってアニメの中の曲ではありませんが、Aqoursの先輩にあたるμ’sの歌の中には「点と線の先にあるもの」を歌っている楽曲が存在していて、μ’sが最後にたどり着いた「ひとつの答え」を、私たちは聞いたことがあるような気がします。

 

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 それは「The School Idol Movie」の後に発表されたμ’sのファイナルシングル」で、その「最後の歌」の中で穂乃果たちは、自分たちの手の中にある「青春を閉じ込めた指輪」を私たちに見せてくれました。

 

MOMENT RING

 

瞬間をリングへと閉じ込めて

いつも眺めていたい

どの指がいいかな

キラキラの毎日を

ずっと忘れずにいてよ

  

 その「指輪」の名前はMOMENT RINGで、それは「あのときの9人の時間と空間と気持ちが詰まった指輪」=「一瞬一瞬の『思い出』を閉じ込めたリング」でした。

 

 Aqoursから入ったから『MOMENT RING』は知らないよ、という方は続きを見る前に歌詞だけでも良いのでざっと見てもらえたらうれしいです。

 

 

 『MOMENT』というのは「一瞬」のことで、ラブライブの文脈では「"今"という点」のことを指しています。『MOMENT RING』の歌の中で穂乃果たちは「"今"をつなげて指輪を作り、その輝きをいつも眺めていたい」と言っているんですね。

 

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 つまり、一本の線の「始点」と「終点」をつなげて「輪」をつくる、という感じでしょうか?

 

 もしそうなら、たくさんの「今」を重ねつづけて「輪」を作れば、「今」がループして「永遠」になるんだ、というようなメッセージが見えてきます。

 

 しかしここからが重要なのですが、「永遠」と言っても『MOMENT RING』の歌詞には「あの瞬間を繰り返したい」というようなニュアンスは無く、「小さな指輪に閉じ込めていつも眺めていたい」=「ずっと保管しておきたい」という意味の「永遠」になっていることに注意してください。

 

 歌詞の中の「閉じ込める」や「眺める」という言葉のチョイスは本当に絶妙で、思い出は「近くにはある」けど「手は届かない」ような様子がよく分かります。

 

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 自分がリングの中に入ったり 、手を加えたりはせず、ただ「眺めるだけ」で良いんだと言っているんですね。

 

思い出だけじゃないからね

終わらない青春はここにある

僕たちが知ってるよ

 

 それは、その後の歌詞ではっきりと「思い出だけじゃないからね」と言っていることからも分かりますが、「思い出」の他に何があるのかといえば、「終わらない青春」は「ここ」にあると言っていて、つまり「青春は"思い出"の中だけじゃなく、今"ここ"にもあるんだ」 「僕たちは今も青春の中にいるんだ」というようなことを言っているんです。

 

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 つまり『MOMENT RING』の歌の中には2種類の青春」が入っていて、ひとつは「思い出の中にある小さな青春」でもうひとつは「今まさに走っている大きな青春」この「大小2つの青春」の中で世界は動いているんだ、というようなメッセージが見えてきます。

 

 さらにそのまま「メッセージの続き」を読み解くと、今走っている「大きな青春」も走り終えたら「思い出」になって「指輪」に姿を変え、また別の指に付けることになるのかな、というような「想像」もできますよね。

 

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  「青春」が「指輪」になるなら「今ここにある青春」も「いつかは指輪になるのかな」と考えるのは自然な想像だと思います。

 

 また、上の図はあくまでもイメージで、例えばMOMENT RING』はひとつで、そこに新しい青春の思い出がどんどん追加されていくという考え方でも全く問題ないと思います。ここで重要なのは「今ここにある青春もMOMENT RINGの一部なんだ」という「視点の変化」なんです。

 

 『MOMENT RING』=「思い出」なのに、「思い出だけじゃない」という歌詞はどういうこと?曲のタイトルを否定してるの?と思った人もいるかもしれませんが、これはつまり「今走っている青春も『MOMENT RING』になる」 「そうやって増えていく『今までの思い出』と『これからの思い出』の全てが『MOMENT RING』なんだ」ということです。

 

 つまり『MOMENT RING』という歌には「過去を愛する歌」という側面もありますが、それ以上に「近い未来、愛すべき過去になる『今』を愛する歌」という側面のほうが強いんですね。歌詞の中の 「閉じ込める」「眺める」、そして「終わらない青春」という言葉がそれをはっきりと示しています。

 

 というか曲名が『MOMENT RING』ですからね。「今という『一瞬』を愛する歌」に決まってます。 

 

 この『MOMENT RING』を私たちファンに当てはめて言えば、こうやって増えていく『MOMENT RING』の中にμ’sAqoursと一緒に走ったMOMENT RING」もある、という感じでしょうか。

 

 あなたは今まで、μ’sAqoursからどんな『MOMENT RING』をもらいましたか?

 

 そしてこれから、どんな『MOMENT RING』をもらうことになるのでしょうか?

 

 

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「ずっと一緒にいられますように」

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「この空はつながってるよ」

 そしてなんとなくですが、冒頭に書いた3年生の「ずっと一緒」「この空はつながってる」というのはこの『MOMENT RING』と近いことを言っているのかな、という感じも少しだけします。

 

 「Aqoursの思い出」はもう指に付いてるから、「私たちはずっと一緒」なんだ。

 

 だから「それぞれの新しい青春」を走ろう。このつながってる空の下で、ずっと一緒に。

 

 この世に「永遠」は存在しませんが、『MOMENT RING』のように「思い出」を小さな箱に閉じ込めて忘れないようにしておけば、「限りなく永遠に近い何か」がずっと手元にあるような、そんな気がしますよね。

 

 「今」という「点」が「サンシャイン!!」では「線」になり、その「虹の先」には『MOMENT RING』のような「輪」が待っているのでしょうか?

 

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 実は、Aqoursの楽曲の中でも『Thank you, FRIENDS!!』には「ループ」「永遠」という言葉も出てきますし、少し強引かもしれませんが『ハジマリロード』『Marine Border Parasol』の中にも「輪のようなもの」がうっすらと見えるような気もします。

 

 『ハジマリロード』は「西へ東へ走って日の出を追い越しちゃえ!」みたいな歌詞から「地球」がちょっとだけ見えますし、くるりとひとまわり」「リロード」という言葉もあります。

 

 『Marine Border』というのは歌詞にある「水平線」と掛かっていますが、素直に「ボーダー柄のパラソル」と捉えて上から見れば、そのボーダーは「輪の形」になります。

 

 そして何より、どちらも歌詞を見れば「ずっと終わらない」というような内容になっていますしね。

 

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 他にもHAPPY PARTY TRAIN』のMVの一番さいごに、タイムラプスで撮られた星が「輪」のようになっていく描写もあります。「レールはどこまでつながってるか分からないけど、どこまでもずっと走って行きたいね」と言っているんですね。

 

 

  ここまでは楽曲の中の「輪」を見てきましたが、「サンシャイン!!」の物語の中にもいくつか「輪」が登場しています。

 

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 「物語」の中では、「0という数字」「サンシャイン!! の円陣」想いよひとつになれ』の「シュシュ」の3つでしょうか。

 

 そしてこの中でも特に「シュシュ」は、『想いよひとつになれ』や『海に還るもの』の持つ意味を考えれば、Aqoursにとっての『MOMENT RINGと言っても良いかもしれません。

 

参考:『海に還るもの』

sona99.hatenablog.com

 

 

 以上、MOMENT RING』の「永遠を『輪』として捉える考え方」についてでした。

 

 

 

6.「自然」のモチーフ

 

 6つめ、これで「抑えておきたいポイント」は最後です。

 

 この作品には多くの「自然」に関係するモチーフが登場しますが、結構数が多いので全部入るような図を作りました。なんとなくで良いのでどんなモチーフがあってどんな意味があったかを軽く整理しておきましょう。

 

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 この中からいくつかをピックアップして、簡単に説明します。

 

 「海」は、はじめはネガティブなモチーフでしたが、1期2話で梨子が「海」の中で「輝き」を見つけてからはポジティブなものになっていきます。そもそもグループ名が「Aqours」ですしね。

 

 「雨」「困難の象徴」です。が、「海」と同様にAquorsの物語は一味違います。2期2話「雨の音」、2期3話「虹」ではタイトル通り「雨」が「不可欠なもの」という扱いになっていて、つまりAqoursの物語では「困難は不可欠」だということです。

 

 「紙飛行機」が何なのかははっきりとは語られていませんが、「飛行機を模したもの」なので「飛ぼうとする意志」のようなものだと思います。2期1話、2期13話では「太陽」と共に対比されているので、「太陽を追いかける意思」という感じかもしれません。

 

 「虹」Aqoursの軌跡」を表しているのと同時に、「奇跡」の正体を教えてくれるモチーフです。本ブログの記事を再掲しておきます。

sona99.hatenablog.com

 

 「太陽」はとても広い意味を持つモチーフで、言葉にすれば「追い求める対象」みたいな感じでしょうか。「夢」とか「輝き」とか、そういうもの全てが含まれているので、「とてもたくさんの意味が入っているモチーフ」です。

 

 「太陽のひとつの解釈」については本ブログでも取り上げています。

sona99.hatenablog.com

 

 「星」は、「太陽」とかなり近いです。2期10話「シャイニーを探して」では「追い求める対象」でしたが、ラストカットでそれはAqoursのメンバーを表していました。

 

 

 かなり簡潔に書きましたが、モチーフの解釈としてはこんな感じだと思います。劇場版でこれらのモチーフが再び出てくるのか、新しいモチーフが登場するのかは分かりませんが、なんとなく全体をおさえておくと良いかもしれません。

 

 

 


 

まとめ

 最後に「6つのポイント」を簡単にまとめておきます。復習用にどうぞ。

 

① 「終わりにする」か「続ける」か

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 3つのグループの進退と、ルビィと理亞の成長がポイントでした。Aqoursは一体どんな「答え」を選ぶのでしょうか?

 

 

②「純粋な気持ち」と「輝き」

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 「The School Idol Movie」の大きなテーマである「純粋な気持ち」と、「サンシャイン!!」の「輝き」という言葉の関係性がポイントでした。

 

 

③「子供」と「未熟DREAMER

 

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 「子供」は「純粋さの象徴」その「子供」と松浦果南というキャラクターの関係性がポイントでした。

 

 

④「SKY JOURNEY」

 

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 『HAPPY PARTY TRAIN』と『SKY JOURNEY』は「Aqoursとファンの関係を歌った曲」であり、それは劇場版と近い位置にある、ということがポイントでした。

 

 

⑤「今」と「永遠」

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 『MOMENT RING』で歌われているような「永遠の輪」の考え方、そして3年生の「ずっと一緒にいられますように」という願い事がポイントでした。

 

 

⑥「自然」のモチーフ

 

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 「自然界のモチーフ」にもそれぞれ意味があること、それでもAqoursにとって「海」は特別なモチーフであることがポイントでした。

 

 


 

 

 『劇場版ラブライブ!サンシャイン!!』公開まであと少し、直前には紅白歌合戦もあります。

 

 年末年始にAqoursが私たちにくれる『MOMENT RING』を、何年か後に「あのときは本当に楽しかった」と心から思えるような「思い出」を作れるように、一緒に全力で楽しんでいきましょう。

 

 

 

「海に還るもの」

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梨子が作曲した『海に還るもの』という曲について。

 

『海に還るもの』という曲名はなんとなく意味深で、多くの人はその意味について考えたことがあると思います。

 

  • 思い悩んでいた梨子自身がテーマ?
  • 原初の海=自分のルーツに立ち返る?
  • 「光の海」と一体化する?
  • さいごは「泡」になる?

 

 このようにいくつかの解釈をすることができますが、「文字から連想されるもの」と「梨子が思い悩んでいたときに作った曲」だという背景からネガティブな印象を持っている人が多いかもしれません。

 

 もちろんそれでも全く問題ないのですが、

 

  • 1期10話「シャイ煮はじめました」
  • 1期11話「友情ヨーソロー」
  • 2期12話「光の海」

 

このあたりの梨子の変化を細かく見ていけば「もうひとつの解釈」のようなもの、物語の時間軸とはまた違った「暖かい側面」もなんとなく見えてくるんです。

 

 そこで本記事では『海に還るもの』についての「別解」のようなものを書いていこうと思いますが、「こんな解釈も素敵だよね」という感じで読んでください。

 

 

■1期10話の「梨子の変化」

 

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「この日ってラブライブ予備予選と同じ日…」

 まずは1期10話「シャイ煮はじめました」のBパートに入ってすぐのシーンです。

 

 Aqoursの合宿中にラブライブの大会」と「梨子のピアノコンクール」の日程が被っていることに気付いた千歌は、梨子にそのことを聞きます。

 

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「心配しなくて大丈夫。ちゃんとラブライブに出るから」

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「えっ?」

 まずここの千歌の「えっ?」についてですが、ここで千歌は「何かに驚いて」いますね。何に驚くのかと言えばもちろん直前に聞いた「梨子の言葉」しかありません。

 

 つまり、梨子の「ラブライブに出る」という答えは千歌にとっては「想定外」で、「梨子はピアノコンクールを優先する」と千歌は思っていたということが分かります。

 だって、1期2話のときは「梨子がまたピアノに向き合えるようにスクールアイドルをはじめる」という話でしたよね。

 

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「失礼だよ、本気でやろうとしてる高海さんに」

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「梨子ちゃんの力になれるなら、私はうれしい」

 このように、はじめの梨子は「Aqoursよりピアノのほうを優先する」という気持ちからスタートしていましたが、1期10話の梨子はAqoursでの経験を通して考えが変わっているんです。

 

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「自分に聞いたの。どっちが大切なのか」

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「すぐ答えは出た。今の私の居場所はここなんだって」

 梨子は「今の私の居場所はここ」だと言い、今の自分にとって『一番大切なもの』「学校やみんなやスクールアイドル」だと言っているんですね。

 

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 梨子はあの頃から「変化」していますが、それは決してネガティブな変化ではありません。今までピアノに打ち込んできた梨子がAqoursや友達の大切さにも気付くことができた、という「暖かい変化」なんです。

 

この「梨子の変化」をよく抑えておいてください。

 

 

■ 千歌の「悲しそうな笑顔」

 

 そして梨子のラブライブに出る」「今の私の居場所はAqoursという返事を聞いた千歌は「そっか」と言いながら「悲しそう」な「笑顔」を作ります。

 

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「そっか」

千歌は、何が「悲しく」て何が「うれしい」のでしょうか?

 

 ここまでの梨子の変化と千歌の想いをたどれば分かりますが、このときの千歌は「梨子が自分の中の大切なものを忘れかけていることが悲しい」んですね。千歌は「梨子がまたピアノと向き合えるように」とずっと思っていたから。

 梨子は変化していましたが、千歌の気持ちは変わっていません。梨子の変化を「暖かい変化」だと書きましたが、千歌のこの「変わらない気持ち」も同じくらい暖かいですよね。

 

 ではそのあとなぜ「笑顔」になっているのかといえば、「梨子がAqoursのことを心から大切に思ってくれていることが、千歌にとってはうれしい」からなんですね。

 自分が始めたAqoursで、自分が誘ったAqoursだから。

 自分が始めたAqoursに対してこんなにも真剣に向き合ってくれて、そのAqoursのことを「一番大切」だと言ってくれたら嬉しいに決まってます。

 

だから「"悲しそう"な"笑顔"」なんです。

 

 梨子の中の優先順位がいつの間にか逆になってしまっていることが、千歌にとっては悲しくもあり嬉しくもあるんですね。

 

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 梨子が『一番大切なもの』を忘れかけていることは悲しい。できればそれを思い出してほしい。

 

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  でも、Aqoursが自分の居場所だと言ってくれたことは嬉しい。

 

 この「悲しさ」も「嬉しさ」も、どちらの感情も「梨子のため」に出たもので、それはどちらも暖かい感情なんです。どちらも暖かいのに、それでもなお2つの感情の間で葛藤し「どちらがより梨子のためになるのか」を考える千歌が、どれほど梨子のことを大切に思っているかが分かります。

 

 梨子は自分の『一番大切なもの』を「Aqours」だと言いましたが、千歌にとっての『一番大切なもの』は目の前にいる『友達』なんだということも同時に見えてくるような、そんな感じもします。

 

 そしてここの伊波杏樹さんの「そっか」という演技の技術も本当に素晴らしいと思います。このたった3音に「ふたつの感情」がちゃんと込められているので、改めて聞いてみてください。

 

 

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「うん、分かった」「梨子ちゃんがそう言うなら」

 そしてその後の千歌の「梨子ちゃんがそう言うなら」というセリフ。

 

「ピアノコンクールに出てほしい」というのは「千歌からのお願い」なんです。梨子が本心から「私の居場所はここなんだ」と言っているのに、その「居場所」であるAqoursにとって大切な大会がある日に「東京に行ってほしい」と言うのは、千歌からしたら「自分勝手なお願い」なんです。

 

 だから「梨子ちゃんがそう言うなら」と言って、「自分のお願い」を取り下げているんですね。しかしそれは「どちらがより梨子のためになるか」を考えた結果であり、梨子のことを深く大切に想っているからこそ、その想いが「梨子ちゃんがそう言うなら」という優しくて暖かい言葉になっているんです。

 

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心は「すれ違う」んだけど、まったく「冷たく」ない。

 そんな二人の「すれ違いの温度」はとても暖かく、だからこそ切なくて、本当に良いシーンです。

 

 お互いにお互いのことが大切で、触れ合えばやさしくゆれ動く。

 3年生の「すれ違い」とはまた違った温度の、いつまでも浸っていたい夏の夜のような暖かさです。

 

 梨子の変化、それを包む千歌の想い、表情の作画、劇伴の効果、声の演技。

 そういったもの全てがとても高いレベルで交わる、「サンシャイン!!」の中でも屈指の名シーンです。

 

 

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「風邪ひくといけないから、戻ろ?」「うん」

 このシーンのラストで、千歌は悲しそうにうつむいています。

 この描写によって千歌の「悲しくて嬉しい」感情の中でも「悲しさ」のほうが大きいことが分かり、これが次の展開へつなげる役割を持ったカットになっています。

 

 

■ 梨子の「居場所」と『海に還るもの』

 

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「大切なもの…」

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 次の日、千歌は『海に還るもの』の楽譜を見つめる梨子を見て「どちらがより梨子のためになるか」の答えを出します。

 

 

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 2回目の梨子とのシーン、『海に還るもの』が劇中ではじめて流れるシーンです。

 

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「ピアノコンクール、出てほしい」

 千歌は「ピアノコンクールに出てほしい」という「自分のお願い」を梨子に伝え、それを聞いた梨子は本気でショックそうな表情をします。

 

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 だってそうですよね。梨子はつい昨日の夜、ラブライブに出る」「Aqoursが今の自分の居場所」と千歌に伝えたばかりなんだから。

 

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「私が一緒じゃ嫌?」

 梨子は「私が一緒じゃ嫌?」と返しますが、これは「私が一緒にAqoursの活動をするのは嫌?」という意味で、「私の居場所はAqoursには無いの?」ということです。Aqoursが『一番大切なもの』だと思っていたのに。「私の居場所はここ」だと思っていたのに。

 

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「違うよ!一緒が良いに決まってるよ!」

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「この町や学校やみんなが大切なのも分かるよ、私も同じだもん」「でもね、梨子ちゃんにとってピアノは、同じくらい大切なものだったんじゃないの?」「その気持ちに、答えを出してあげて?」

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「わたし待ってるから」「ここでみんなと一緒に待ってるからって約束するから」

 それを受けた千歌は自分の想いを梨子に話し、「わたし待ってるから」と言います。「この場所が、Aqoursが、梨子ちゃんの居場所だよ」と言うのです。

 

 梨子の本心をしっかりと受け取ったうえで「梨子ちゃんの居場所はこの"海"なんだから、いつでも"帰ってきて"いいんだよ」 「東京に行って答えが出たら、また"この海に帰っておいで"と言って、やさしく東京に送り出そうとしているのです。

 

 このシーンで流れている曲は『海に還るもの』です。

 その「暖かい側面」が、なんとなく見えてきたような気がしませんか?

 

 

■『海に還るもの』

 

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「わたし待ってるから」「どこにも行かないって、ここでみんなと一緒に待ってるからって約束するから」

 

 梨子ちゃんが東京に行っても、内浦の海で帰りを待ってるから。

 Aqoursのみんなとここで一緒に待ってるから、いつでもこの海に帰ってきていいんだよ。

 

 この千歌のセリフだけを見て『海に還るもの』という言葉を紐解いていけば、「海」というのは「内浦」や「Aqoursのことで『海に還るもの』というのは「内浦やAqoursから離れても、いつかまた帰ってくる人」つまり「東京へ行く桜内梨子そのものを指していると取ることができます。

 

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「良い曲だね。すっごく良い曲だよ、梨子ちゃんがいっぱい詰まった」

 このセリフの前に、梨子がピアノで弾いてくれた『海に還るもの』を聞いた千歌は「梨子ちゃんがいっぱい詰まった良い曲だね」と言うのですが、そのことからも千歌の中では『海に還るもの』と「梨子」はつながっているということが分かります。

 

 冒頭でも書きましたが、現実的に考えれば『海に還るもの』は梨子が内浦に来る前に付けたタイトルであり、思い悩んで「息が詰まっている」自分が「まるで海の中にいるように苦しい」という意味で付けた曲名かもしれません。「深くて冷たい海の底でピアノを弾く指が動かなかった」みたいに考えれば、物語的にもモチーフ的にもしっくりきます。

 

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「そんな良い曲じゃないよ」

 梨子自身も「そんな良い曲じゃないよ」と言っていますしね。

 

 しかし、千歌はそんなメロディーを聞いて「良い曲だね」と言うんです。『海に還るもの』は「梨子ちゃんがいっぱい詰まった良い曲だね」だと言うんです。

 

 物語と劇伴(劇中の音楽)は切り離せるものではありませんが、千歌が言った「良い曲」という言葉に寄り添って敢えて物語上の『海に還るもの』と劇伴としての『海に還るもの』を切り離したとき、そこに込められた新しい側面、「曲が持つ二面性のようなもの」が見えてくるのです。

 

 

 ここまでをまとめると、『海に還るもの』とは「東京へ行く梨子」のことでありその中には「いつでも、この海に還っておいで」という千歌の「願い」のようなものが込められている、ということになります。

 

 これで『海に還るもの』の「暖かい側面」のようなものは見えた気もしますが、劇中で『海に還るもの』が流れるシーンはもうひとつあるので、今回はそこまで読み進めていきます。 

 

 

■ 泣きそうな千歌

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 千歌の「わたし待ってるから」という言葉を聞いた梨子は「ほんと、変な人」と言って千歌に抱き付きますが、それを受けとめる千歌は今にも泣きそうな顔をしていました。

 

 梨子は千歌の言葉を受けて「ピアノコンクールに出る」という答えを出したのですが、それを聞いた千歌はなぜ泣きそうな表情になっているのでしょうか?

 自分の「ピアノコンクールに出てほしい」という「お願い」が通ったのに、なぜ「とても悲しそう」なのでしょうか?

 

それは、梨子と離れることになるから。

『海に還る』ためには、「海から離れる」必要があるんです。

 

 このときの千歌の『一番大切なもの』は目の前にいる『友達』なんです。そんな『一番大切なもの』と離れるのは、たとえ一時的でも、たとえ「自分からのお願い」だとしても、悲しくてたまらないんですね。

 

 そんなに悲しくなるなら東京に行かせなければ良いと思いませんか?梨子もAqoursのほうが大切だって言ってくれたんだから。

 

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 でも、千歌の「梨子を大切に想う気持ち」はそんなに「浅くない」んです。

 

 普通の「大切」だったら「できるだけ一緒にいたい」から東京には行かせないと思います。

 でも「本当に大切な存在」であるなら、「本当にその人のためになること」を選択することができるんです。

 

 そして千歌は、梨子と離れることが悲しくても、梨子を東京へ送り出す『決意』をしました。

 

 

■『想いよひとつになれ 

 

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 そして次の1期11話「友情ヨーソロー」では想いよひとつになれという曲が歌われますが、そこでは「どこにいても想いがつながりますように」という千歌の"願い"のようなものが歌われています。

 

なにかをつかむことで
なにかをあきらめない
想いよひとつになれ
どこにいても同じ明日を信じてる

 

 これは梨子が「海」から離れている間でも「想いがひとつになりますように」ということで、「もし離ればなれになったとしても、想いだけはつながりますように」という祈りのようなものが込められています。

 

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 梨子がいなくなることが悲しくて想像するだけでも泣きそうでたまらないのに、それでも梨子のために、梨子にとって『一番大切なもの』が見つかるように「自分からのお願い」をして東京に送り出し、梨子がいないステージで想いよひとつになれ』という願いを歌う。『海に還るもの』のメロディーの中に祈りをこめて。

 

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 そんな高海千歌というキャラクターの在り方を、その祈る姿を、好きにならない人なんていないんです。

 

 

■ 想いがひとつになるとき

 

 そしてそんな千歌の「願い」は、物語終盤でしっかりと梨子に届くことになります。

 

 2期12話でラブライブ!サンシャイン‼︎」という作品の根底にある「問い」Aqours全員に問われたとき。

 

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ラブライブ、勝ちたい?」

 

 このシーンは梨子がピアノで『想いよひとつになれ』を弾くところからはじまり、そのまま劇伴として『海に還るもの』につながっていて1期10話と並ぶ『海に還るもの』が流れる「もうひとつのシーン」になります。

 

 つまりここは梨子にとって大切なシーンであり、梨子なりの「答え」のようなものが表れているシーンなのかもしれません。

 

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「梨子ちゃんは、ラブライブ勝ちたい?」

ラブライブに勝ちたいかどうか」という「問い」に順番に答えていくAqoursメンバー。梨子はそれに対して何と答えましたか?

 

 千歌のおかげでまたピアノと向き合い、音ノ木坂で再びピアノを弾けるようになった梨子には、もうスクールアイドルの活動を続ける理由はありません。当初の目的は達成したのだから、『海に還る』必要はもう無いはずです。

 

 それでも、この「問い」を受けた梨子は千歌に何と答えましたか?

 

 

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ラブライブで勝ちたい」
「この道で良かったんだって証明したい」

 

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「今を精一杯全力で、心からスクールアイドルをやりたい」

 

 

 あなたのおかげで、わたしの『一番大切なもの』は見つかったよ。

 

 だからこそ、あなたと始めたこの道に、みんなで歩いたこの道に、その「証」を残したい。

 

 あなたと一緒に、私たちの「海」の中で。

  

 

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「大好きだよ。」

 

 

 千歌との出会いからはじまって、ラブライブ決勝まで。

 

 1期10話の『海に還るもの』という"願い"は、2期12話の『海に還るもの』という"答え"にたどり着くのです。

 

 

 

■ そして「次の海」へ

 

 2期12話ではそのあと、ラブライブ決勝で『WATER BLUE NEW WORLD』という曲が披露されます。

 

「WATER BLUE」というのは「青い水」で、水が青くなるような条件を満たす身近なものといえばもちろん「海」ですよね。

 この「海」は、この話のタイトル「光の海」を意識したものではありますが、「千歌と梨子の物語」においては『海に還るもの』とのつながりもなんとなく感じます。

 

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 この曲のサビ前は、梨子が「生まれ変わる」ような振り付けになっています。

 

 MY NEW WORLD

新しい場所 探すときがきたよ

次の輝きへと 海を渡ろう

夢が見たい想いは いつでも僕たちを

つないでくれるから 笑って行こう

 

『海に還るもの』の解釈では「海」は「内浦やAqoursのこと」と書きましたが、『WATER BLUE NEW WORLD』まで視点を拡げたとき、その「海」は「想いがつながる場所」のような解釈になるのかな、と思います。

 

 そう考えれば『海に還るもの』の解釈も「物理的に海に帰る」のではなく「心だけでも海に帰る」というふうに変化しそうですね。

 

 

「次の夢」を追いかけてどこへ行ったとしても、あの頃の「海」を思い出して笑って行こう。この「海」はつながってるから。

 

"いつでも、この海に還っておいで。"

 

 

 はじめはネガティブな曲のように思えた『海に還るもの』。

 

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「そんな良い曲じゃないよ」

 

 この作品に出てくるモチーフは、その「高度」や「温度」が「心の軽さ」や「情熱」と結びついています。そう考えると「海」というモチーフは「地面より低く」「温度も冷たく」「水圧がかかって身体が動かない」ため、モチーフの解釈としてはかなりネガティブなものなんです。

 

 それでも「そんな海の中にあるもの」に気付くことができれば、深くて冷たい海もキラキラと光り出し、まるで「空」と変わらないくらい自由に動ける「光の海」になる、それって「すごくAqoursらしい」気がしませんか?

 

未来の僕らは知ってるよ

 

味方なんだ 空もこの海も
さあがんばるんだと 輝いてるよ

 

 

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「良い曲だね。」

 

 

 以上、「千歌と梨子の物語」と『海に還るもの』についてのお話でした。

 

 

 

 

「WONDERFUL STORIES」から読み解く「現実と虚構」

 

 ラブライブ!サンシャイン!! TVアニメオフィシャルBOOK2」の71ページにある「WONDERFUL STORIES」についての酒井監督のコメントですが、少し分かりにくくなっているので、読み解いてみようと思います。

 今回は国語のテストで使うような論理的な思考を求められる記事になっているので、難しめの内容…かもしれませんが、酒井監督はここで「リアリティ」の話をしているので、これを読み解くことができればこの作品の「現実と虚構」についてより深く理解することができるかもしれません。

 

【現実】

物理的に起こったこと。

 

【虚構】

物理的には起こっていないこと。

 

注1)「心象風景」は「心象 + 風景」で、普通は「現実には存在せず、心の中だけにある風景」という意味がメインですが、ここでは文脈を見ると【現実】の振り返りという意味で使われています。(なぜそうなるのかは後で書きます)

注2)物語における【虚構】とは「フィクション」や「ファンタジーのことで、決して悪い言葉ではありません。

 

 それでは以下から解説をしていきますが、黒い文字はオフィシャルブックに書かれている言葉で、青い文字は解説になります。

 

 

※2期オフィシャルBOOK 71ページ
WONDERFUL STORIESについての
酒井監督のコメントです。

■見出し

 心象風景ではなく千歌たちのキセキを体感できるアトラクション

 この「見出し」は編集者がコメント本文から切り取ってつけたものだと思いますが、本文には書かれている「完全に」という言葉が抜かれていて「心象風景は一切無い」という意味になってしまっています。これは少し間違いで、正しい見出しは以下。

完全に心象風景というわけではなく千歌たちのキセキを体感できるアトラクション

=(WONDERFUL STORIESは)すべてが【現実】の振り返りというわけではなく、中には【虚構】も混ざっていて、それらをまとめて体感できるアトラクションのようなライブステージ

 

■本文(監督のコメント)

・1行目~

 自分たちが動いた先の波紋を見ているような感覚なので、今までの体験を振り返ったわけではなくて。

=(WONDERFUL STORIESは)千歌たちが、自分たちが作り出した【虚構】を見ているような感覚なので、「ただ【現実】を振り返っただけ」ではなくて。

 「水」「実体の無いもの」で、りんごを水面に落としたら「りんごの形をした波紋」が出来るように、「波紋」「何かの形をした水の拡がり」です。つまり「波紋」とは

  • 現実を模した虚構
  • 現実の延長線上にある虚構
  • 現実の分身が虚構に干渉している

といったものの比喩です。

 つまり「WONDERFUL STORIES」には【現実】だけではなく、そこから派生した【虚構】も混ざっているということです。

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↑「波紋」のイメージ

 ここで注意することは、「波紋を見ている」と言っているので千歌たちには【虚構】が見えているということです。 

 

・2行目~

 ベタかもしれないですが、千歌たちがやったこと自体がキセキだったというのを、ファンのみなさんといっしょに体感したいという想いがこのライブパートの根底にあります。あの時、あの瞬間にしか見れないこと……。ここは完全に心象風景ではなく、千歌がこの目で見たものが全部体感できる。

=(WONDERFUL STORIESは)「全てが【現実】の振り返り」なのではなく、千歌が見た【虚構】(=波紋)も混ざっていて、そのどちらも全部体感できる。

 この「完全に」は「ではなく」にはかかっておらず「心象風景」のほうにかかっていて、「"完全な心象風景"  では "ない"」、という部分否定になっていることに注意。

 「千歌がこの目で見たもの全部」は、千歌が実際に肉眼で見た現実と、心で見た虚構の「どちらも全部」ということです。

 この最後の1文ですが、実は1行目の文と同じことを言葉を変えて言っているだけで、同じ位置にある言葉としては「波紋」=「千歌がこの目で見たものが全部」「今までの体験」=「心象風景」となります。つまり、この文章における「心象風景」とは「今までの体験」のことであり、「現実の振り返り」という意味で使われていることがここまで読んでやっと分かります。

 

・5行目~

 「ラブライブ!サンシャイン!!」は、千歌たちと同じ乗り物に乗って体験するアトラクションだと思うんです。だから乗り遅れないで!

=千歌たちは簡単に【現実】と【虚構】を行き来するけど、視聴者のみんなも乗り遅れないで!

 この作品は虚実が入り乱れるアトラクションだけど、付いてきてね!と言っています。

 

・6行目~

 千歌が見えているものを見ている。第12話のドキュメンタリー風のインタビューや、「MIRACLE WAVE」のダンス中に千歌が仲間へ目配せするシーンもそうですけど、いっしょに体感してほしいというのがあって、視点が1つ増えると思ってPVは作っていました。本当はカメラにならなきゃいけないんだけど、しだいに第3者の視点から見れるように作っていましたね。それが「WONDERFUL STORIES」によく出ていると思います。

=作品全体として「千歌と一緒に体感・体験するアトラクション」であり、【現実】も【虚構】も千歌たちと一緒に体感してほしいという作品で、それが「WONDERFUL STORIES」にもよく出ていると思います。

 

・12行目~

 自分の悪い癖なのかもしれないですけど、リアリティーは分かるんです。100歩ほど歩いたらどこに着いて、200歩ほど歩いたら坂を上って、300歩ほど歩いたら屋上に着いたという。でも、物理的な現実感と自分の心の現実感はちょっと別なんです。

=【現実】と【虚構】はちょっと別なんです。 

 作中で「現実感」がおかしいと思った箇所があったらそれは【虚構】だと思ってください、ということでしょうか。

 

・14行目~

 あれは千歌1人の心の動きではなく、9人の全員、浦の星の生徒全員の心の動きが、千歌に要約されているんです。それをあのような映像で表現しています。

 12行目からの文章と一緒に読み取ると、「あれ」「あのような映像」「最終話後半の紙飛行機を追いかけるところからWONDERFUL STORIESにかけて」のことで、映像では千歌がメインになっていますが、Aqoursや他の生徒たちも千歌と同じ気持ちだということ。このあたりの指示代名詞の多さも分かりにくさにつながっていますが、これは次に述べてるように答えを限定させないためでしょう。

 

・16行目~

 あまり答えを限定せず、観た人がそれぞれに感じてほしいと思っています。第13話のストーリーとしては、千歌が「最初からあったんだ」と自分で答えを語るという構成にしましたけど、あの時に起こっていることはひょっとしたら……。想像がふくらむように作っています。

 千歌が見たもの全てを一緒に体感しながらも、どこまでが【現実】でどこからが【虚構】なのか、想像してみてくださいということ。あのライブパートではもしかしたら本当に現実で衣装やステージを替えて歌ったのかもしれないし、「最初からあったんだ」という千歌の言葉は実際には語られていなくて、Aqours全員の「心の中の言葉」だったのかもしれない、というふうに。

 

 

 これで酒井監督のコメントの読解は終わりですが、まとめると

『WONDERFUL STORIESのライブ映像は物語の軌跡を振り返ったものではありますが、それは"波紋"のようなもので【現実】も【虚構】も全部入ったアトラクションなんです』

それはこの作品全体も同じで、たまに現実感がおかしいと感じることもあるかもしれませんが、付いてきてください』

 ということです。長々と書きましたが分かってる人にはまあ当たり前のことだと思います。ただ、これが監督の言葉として明言(かなりボカされてるけど)されたことは大きいと思います。

 

 さて、ここで重要なのは「WONDERFUL STORIES」が「波紋」であるなら、この物語の中の「あらゆるリアリティラインが動き出す」ということです。


 例えばあのとき見えた虹、あのとき犬が振り返ったこと、あのとき雨が止んだこと、あのとき紙飛行機が飛んだこと。そんなことが「もしかしたら"波紋"だったのかもしれない」ということなんです。

 

 はじめにも書きましたが、このような物語における「虚構表現」は決して「悪い嘘」ではないのです。何もないところに波は起きないわけで、波紋を起こすためには凪いだ水面に「何かが落ちる」必要がある。


 キャラクターたちの「強い想い」が水面に落ち、何倍にも増幅されて"波紋"を起こし、まるでファンタジーのような現象が起こりだす。そんな【現実】も【虚構】もぜんぶまとめて、キャラクターたちと一緒に体感してほしい。これが酒井監督の「虚構表現」なのです。

 

 「空飛ぶ車」はもちろんファンタジーですが、そのあと雨が止んだこともファンタジーかもしれない。もしそうだとしたら、そこに至るまでの鞠莉や果南の強い想いがそれを引き起こしたわけで、逆にファンタジーだからこそ、その「想い」が何なのか知りたくなるし、キャラクターたちの想いが「映像として目に見える」からこそ、その想いの強さも視覚的に伝わってきます。

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 逆に、人によっては「あのとき車が空を飛んだこと」が【現実】に起こったことだと信じて疑わない人もいるでしょう。でも、酒井監督から言わせると「それも大正解」なんですね。

 ようやく「しがらみという重力」から解放されて「自分自身のために」「次の夢に向かって」歩き出した3年生の心は空を飛ぶほど軽くなり、本当に空を飛んだんだと。

 

 アニメという媒体は「線と色と音の世界」であり「そもそもすべてがファンタジーなんです。そんな「アニメの持つファンタジーの可能性」を信じている人ほど、このようなリアリティラインの引き方になるような気がします。

 女子高生が空を飛んでも良いじゃないか。だってアニメなんだから。

 

 そして酒井監督は、そんなふうに「波紋の中をたゆたう」のはとても心地良いんだよ、と言っているのです。あれが波紋だったら良いな、でもあっちは現実だったら良いな、と「自分が思うリアリティラインに想いを馳せて作品を楽しんでみてね」「何度でも自由にリアリティラインを引きなおしてみて、作品を自由に味わってみてね」と言っているんですね。

 

 そんな「リアリティライン」という味付けを知ったうえで、千歌たちの物語をもう一度味わってみると新しい発見があるかもしれませんね。

 

「私の太陽」

 

※とても素敵なOSTの記事と、3rdライブへ向けたタグを作ってくれた生春さんに、最上級の感謝と敬愛を込めて、この記事を贈ります。

 

 

 「ラブライブ!サンシャイン!!」2期で頻繁に流れる『起こそうキセキを!』のメロディー。「トリスのメモ帳」の生春さんは、これを「2期の裏メインテーマ」と呼んでいます。


 3rdライブが「2期の物語」なら、このメロディーは「3rdライブの裏メインテーマ」にもなることでしょう。

 


 詳細は生春さんの「トリスのメモ帳(41)」に動画付きでまとめられているので、見ていない方は是非。

torys.hatenablog.jp

 

 

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 2期1話、冒頭の『夢を飛ぶ紙飛行機』からはじまり、

 

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 2期13話、後半に流れる『私たちの輝きはそこに』まで。


 このメロディーは少しずつ姿を変えながら、アニメ2期の物語をずっとキャラクターに寄り添い、一緒に走り抜けてくれます。「2期の裏メインテーマ」と呼ばれるのはそのためです。

 なにより、2期最終巻の特典曲である「キセキヒカル」がこのメロディーであることからも、その重要さが分かります。

 


 そしてこのメロディーはいつも、千歌が「探しているもの」に向かって手を伸ばし、走って、追い求めるような場面で聞こえはじめます。

 そしていつも、メロディーが終わるタイミングでその「探しているもの」が大きく画面に映し出されてきました。



2-1「ネクストステップ」

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 それは「太陽」からはじまり、

 

2-3「虹」

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 何度も諦めそうになりながら、それでも走り続けたときには「虹」に姿を変え、

 

2-10「シャイニーを探して」

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 星に願い事をするために車で走ったときには「星空」と「月」に姿を変え、

 

2-12「光の海」

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 「光の海」に飛び込む直前には、「サンシャイン!!」の掛け声と共にはじめと同じ「太陽」に姿を戻しました。

 

 上の画像を見ただけで「あのメロディーが終わる音」が聞こえる人には、何も言うことはありません。聞こえない人は、できればもう一度本編を見てもらえたら嬉しいです。

 

 つまり、「あのメロディー」が終わるときに画面に映されているものが、「千歌たちが探していたものの象徴」になっているということです。

 

視聴動画時点の話ではありますが、「あのメロディー」と同じキセキヒカル」の終わりのフレーズ「見上げれば 熱い太陽」となっていることから、「この曲が終わるときに太陽がある」ということは、映像だけでなく「歌詞という言葉」でも示されています。

 


 さて、この「太陽」という象徴は何なのでしょうか?

 


 遠すぎて、手の届かないもの?憧れの対象?

 遠くても、手が届かなくても、自分たちを照らしてくれるもの?

 


 その答えは、「千歌にとっての太陽」の正体は、最終話でしっかりと描かれています。

 

 

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「飛べーーーー!!」

 最終話、後半。
 彼女たちの物語を締めくくる終盤で、さいごの「あのメロディー」が流れます。

 

 後半がはじまってすぐ、千歌が紙飛行機を飛ばすところから体育館のラストライブ直前まで続く、長い長いメロディーです。

 

 

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 ついに飛ばすことができた紙飛行機を追いかける千歌。

 

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 学校にたどり着き、「みんなの声」に導かれて屋上まで登り紙飛行機を見つけた千歌は、「みんな」を思い出し、たったひとりで泣き出してしまいます。

 

 学校まで紙飛行機を追いかけてきたので、「千歌にとっての太陽」は「紙飛行機」だったのでしょうか?

 

 違います。「あのメロディー」はまだ終わっていません。

 


 ほそく、ゆっくりと続く「あのメロディー」の中、再び「みんなの声」が聞こえた千歌は立ち上がり、体育館に向かいます。

 まるで、屋上で止まってしまった紙飛行機の代わりに「あのメロディー」が 千歌の手を引っ張ってくれているかのように。

 

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 その先の体育館で、千歌を待っていたものは何でしたか?

 

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 長い長い「あのメロディー」は、ようやくこの体育館で終わります。千歌を体育館へ導き、「さいごの役目」を終えた「あのメロディー」は、ゆっくりとやさしく消えていきます。

 

 そのとき、千歌の目に映っていたものは何でしたか?

 


 千歌がずっと追い続けていた「太陽」のその正体は、

 

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千歌が手を伸ばして、ずっと探していた「私の太陽」は、

 

 

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Aqoursのみんな」だったのです。

 

 


 いつも手を伸ばしても届かないと思っていた「太陽」は、「はじめからあって」、「もう届いていた」んです。

 

 あがいてあがいて、あがきまくって、やっとたどり着いた「私の太陽」「一緒に夢を追いかけてきた仲間たち」だったのです。

 

 劇伴として視聴者だけに聞こえる「あのメロディー」が 、それを教えてくれているのです。

 いえ、「キセキヒカル」という楽曲の存在がある今、「あのメロディー」は彼女たちにも聞こえていたのかもしれません。

 

 

 確かに、「2期1話と2期13話の紙飛行機の対比」「輝きははじめからあった」という千歌のセリフ、そして「この作品全体を覆うメッセージ」から考えれば、やや強引にこの解釈に至ることは可能です。でもどうしても決め手に欠けるんです。紙飛行機なんかは屋上で止まっていますしね。

 

 そこで決め手となるのが、劇伴なのです。

 「屋上」で止まっていた紙飛行機を「体育館」まで運んでくれるのは、劇伴の存在なのです。

 

 

 そんな「劇伴の存在」を教えてくれたのは、生春さんです。

 他の人の解釈を無視せず、否定せずに受け入れることで、こんなにも素敵な解釈にたどり着くことができる。

 それを教えてくれたのは、私のまわりにいる「同じ作品を好きになった人たち」でした。

 

 

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この1話と13話の「劇伴の対比」は、「いつも手を伸ばしてきた太陽が、逆に私に手を伸ばし返してくれた」という描写に見えます。

 


 そして千歌は、やっとたどり着いた「私の太陽」たちと一緒に劇中で最後の歌を歌います。

 

 曲名は「WONDERFUL STORIES」です。

 

いつもいつも追いかけてきた

届きそうで届かない未来を

 

だからだから君に会えたよ

一緒にいてくれてありがとう

 

高海千歌から「私の太陽」へ。

一緒にいてくれて、ありがとう。

 

 

 

 3rdライブ「WONDERFUL STORIES」は明後日からはじまります。

 

 ラブライブ!サンシャイン!! 2期の裏メインテーマである『起こそうキセキを!』のメロディー。


 3rdライブが「2期の物語」なら、3rdライブの裏メインテーマも同じ『起こそうキセキを!』のメロディーになることでしょう。

 


あなたにとっての「太陽」は何ですか?

 

あなたが手を伸ばし、憧れている人?

気付けばあなたのそばにいる人?

 


 あなたが憧れているのは、伊波杏樹さんのような、演者の方々かもしれません。


 あなたのそばにいるのは、3rdに一緒に参加する、同じ作品を好きになった人たちかもしれません。

 


 そんなたくさんの「太陽」と一緒に作り上げる空間と時間を最高のものにできたら、そんな「太陽の光の海」の中で輝けたら、それはあなたの人生の中でかけがえのない瞬間になると思いませんか?

 

そんな「かけがえのない瞬間」はもう目の前です。

 

 

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「歌おう!」「一緒に!」

 

光の海の中で、一緒に。

 

 

 

 

 

 とても素敵なOSTの記事と、3rdライブへ向けたタグを作ってくれた生春さんに、最上級の感謝と敬愛を込めて。

 

「私の太陽」は、あなたたちです。