ラブライブ!サンシャイン!! でAqoursが起こした「奇跡」とは何だったのか?
アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」という作品はとても強いメッセージ性を持つ作品なのですが、説明的になりすぎないように言葉がぼかされているのでそのメッセージが伝わりにくい作品でもあると感じます。
自虐的とは全然違うんだけど、自分の演出は万人受けしないところが自分なんだなぁとはつくづく思う\(^o^)/多分この作り方が好きなんだ。
— 酒井かずお (@okazuon) 2018年1月11日
↑ 監督もこんなこと言ってます。
しかし、この作品はキャラクターの語る言葉をひとつずつしっかりと読み解いていけば、何が伝えたかったのかちゃんと分かるようにもなっています。
そこでここでは、この作品のメッセージがいまいち分からなかった人、なんとなく釈然としなかった人に向けて「ラブライブ!サンシャイン!!で本当に伝えたかったこと」をできるだけ分かりやすく論理的に、そして具体的に解説していきたいと思います。
※この作品には2期の廃校問題の立ち位置をはじめいくつかの問題点があるにはあるのですが、本記事では焦点がブレないようにこれらの問題点については無視して進行します。許してください。(機会があったらそのあたりをまとめた記事も書くかもしれません)
まず「ラブライブ!サンシャイン!!」全体のストーリーを簡単におさらい&解説していきます。
■「ラブライブ!サンシャイン!!」1期
1期の内容を簡単に言うと
μ'sに憧れた少女が(1話)
仲間を集めて結束し(~11話)
輝きの答えを見つけ(12話)
0を1にした物語(13話)
というストーリーで「キャラクターの紹介」+「小さなサクセスストーリー」になっています。
物語は主人公である高海千歌がμ'sと出会うところからはじまります。
千歌は「μ'sと同じ場所に立って輝きたい」という目標を設定し、そのために一緒に走る仲間を集めていきます。
「ずっと一緒に何かをやりたかった」と言ってくれた少女と
まわりの期待に押しつぶされて息ができなくなっていた少女と
極度の人見知りで、いつも人の後ろを付いて歩いていた少女と
自分に向いてないことは「できない」と思っていた少女と
まわりの目を気にして「本当の自分」を抑え込み「普通」になろうとしていた少女と
どこよりも大切な場所を守ろうとする少女と
誰よりも大切な人を守ろうとする少女と
そのどちらも守ろうとして身動きが取れなくなっている少女
千歌は彼女たちに手を伸ばして結束し「μ'sの輝き」を探すために東京へ向かいます。
「ラブライブ、勝ちたいですか?」(=μ'sと同じ結果は必要だと思いますか?)
「物(=結果)なんか無くても、心はつながっているからって。それでいいんだよ」って。
「走ったら転ぶわよ?(失敗するかもしれないよ?)」「大丈夫!(でも走りたい!)」
そして、ある答えにたどり着きます。
「μ'sみたいに輝く」ってことは、μ'sの背中を追いかけることじゃない。
自由に走るってことなんじゃないかな。全身全霊、何にもとらわれずに。
自分たちの気持ちに従って。
「輝く」こととは「結果」ではなく自分の気持ちに従って自由に走ること
つまり「輝き」とは「結果」ではなく、何かの目標に向かう「過程」のほうにあるもので、それもただの過程ではなく「自分の気持ちに従っているとき」に「輝き」があると言っています。
社会人でも学生でも分かると思いますが、常に揺れ動く「他人の波」の中で「自分の気持ちに従って自由に走ること」は本当に難しいことなのです。
他人の期待におしつぶされて立ち止まってしまったり、他人のペースに合わせて走ったり、一緒にいる人のことが大切なあまり敢えて走らなかったり。
1期で千歌と出会う前のAqoursメンバーが抱えていた問題は「輝けていない人の具体例」になっていたことが分かります。
13話ラストは、千歌たちの問いかけで締められます。
「君のこころは、輝いてるかい? 」
あなたは、自分の気持ちに従って自由に走れていますか?
「画面の壁」を超えて「きみ」に語りかけてくるこの演出から、この物語は「私たちの物語」であり、「きみの物語」でもあるということも分かります。
1期はこれで終わりですが、この時点の「過程と結果の関係」をまとめておきます。
このように、この物語はここまで「輝き」に焦点を当ててきているので「過程にフォーカスした物語」だということが分かりますが、それはこの作品のタイトルに「サンシャイン(=輝き)」が入っていることからも裏付けられています。
■「ラブライブ!サンシャイン!!」2期
2期の内容を簡単にいうと
廃校阻止=奇跡を起こせなかった千歌たちが(1~7話)
閉校祭やラブライブ優勝を通して(8~12話)
私たちの輝きにたどり着く物語(13話)
であり、まず「廃校」という要素が大きく前に出てくることが1話で示されます。
そのあともあがき続けた千歌たちですが、7話で廃校が確定してしまいます。
廃校確定を受けて「走る方向」が揺らいだ千歌たちは、浦の星の生徒たちの言葉を受けて再びラブライブ優勝を目指して走りはじめます。
そして12話で見事ラブライブに優勝し、13話でついにずっと追い続けていた「私たちの輝き」にたどり着きます。
最初からあったんだ。はじめて見たあのときから、なにもかも、一歩一歩、私たちが過ごした時間の全てが、それが「輝き」だったんだ。探していた「私たちの輝き」だったんだ。
「私たちの輝き」とは、私たちが過ごした時間の全て
つまりメーテルリンクの「青い鳥」のように、「探していたものははじめから近くにあったんだ」と言い、千歌たちは「輝き」は「はじめから自分の中にあった」ため「私たちの過ごした時間の全てが輝きだった」という結論にたどり着きます。
これでストーリーのおさらいは終わりですが、この作品を最後まで見たときになんとなく違和感というか、モヤモヤしたものを覚えた人もいるかもしれません。
- 過程が大事なのは分かるし、奇跡が起こらないのも分かるけど、あれだけ「奇跡を起こしてみせる」「未来を変えるんだ」って言ってたのはどうなるの?
- 1期の結論が「輝きは過程の中にある」で、2期の結論が「過程の全てが輝きだったんだ」だとしたら、なんだか漠然とした結論だし2期の内容が薄いような・・・
ここまでのストーリーから「奇跡が起こらないこと」は自然なことで、それ自体は問題無いんです。「過程」がメインフォーカスの物語ですしね。でも全体の流れを見たときに「奇跡」に対する何かしらの答えが無いと、やっぱり消化不良な感じがするかもしれません。
でも違うんです。これが誤解なんです。
「奇跡」は起こったんです。
「未来」は変わったんです。
ただ、そのことが一度も言葉にされてないだけなんです。
何が奇跡なのか、どんな未来がどう変わったのか、一度もキャラクターの口から語られていないだけなんです。
■「虹」に隠された「本当のメッセージ」
ではここから「この作品で本当に言いたかったこと」を考えていきますが、それが何なのかは実は「虹」というキーワードに隠されているので、じっくりと読み解いていきます。
この作品に出てくる「虹」はメタ的なものも含めると以下の9つあります。
①2期3話「虹」
②2期13話のペンキの虹
③2期13話のラストライブの虹
④2期オープニングのステージ全体の虹
⑤「君のこころは輝いてるかい?」PVのステージ背景(2期3話にも登場)
⑥「Happy Party Train」PVの列車の軌道
⑦2期10話「シャイニーを探して」の車の軌道
⑧元旦の監督のTwitter
「No Rain, No Rainbow!」
明けましておめでとうございます!
— 酒井かずお (@okazuon) 2018年1月1日
あらためてラブライブサンシャインをご視聴して下さった方々、スタッフ、キャストの皆さま心から感謝しております!サンシャインという作品に携わる事が出来てAqoursという存在に出会えた事も奇跡みたいなものです。ありがとうございました。
No Rain, No Rainbow !
⑨「虹」ヶ咲学園 スクールアイドル部
今回はこの中から①~③に着目して「虹」にどんな意図があるのかを探っていきます。
■2期3話「虹」
まず一番分かりやすいのはタイトルにもなっている2期3話「虹」です。この話の最後に虹が出てきます。
「学校説明会」と「ラブライブ予選」の日程がかぶってしまったAqours。
まず、千歌たちは「ラブライブ予選の抽選で1番を引く」という「奇跡」を起こそうとしますが、「奇跡」は起きませんでした。
次に、現実的な妥協案として「2グループに分かれる」という選択肢を選びましたが、千歌はさいごまで諦めずに「みかん畑を突っ切る」という3つ目の選択肢にたどり着きます。
この選択肢を選び、雨の中でみかん畑を走った9人は学校説明会もラブライブ予選も出ることができました。
つまり「抽選で1番を引く」という「奇跡」は起きませんでしたが必死にあがいた結果として9人で学校説明会もラブライブ予選も出られたのだから「奇跡」と同じ場所にたどり着いていることになります。
つまりこの2期3話は「偶然の奇跡」と「必然の奇跡」について具体例を挙げながら説明している話なのです。
みかん畑を走る場面で、不安がる梨子に千歌が言います。
「わたし思うんだ。奇跡を最初から起こそうなんて人いないと思う。ただ一生懸命夢中になって、何かをしようとしている、何とかしたい、何かを変えたい。それだけのことかもしれない」
この言葉は「輝くこと」を意味しています。
「だから起こせるよ奇跡、私たちにも。だって、虹がかかったもん。」
この「虹」は「虹という珍しい自然現象が目の前で起こったのだから、同じように奇跡も起きるはずだ」という意味で使われていて、千歌は
「虹」=「奇跡」
というイメージで「虹」をとらえています。
そしてその言葉の通り、「ラブライブ予選にも学校説明会にも間に合う」という奇跡が起こりました。
つまり、この2期3話をまとめると
「偶然の奇跡」は起きなくても、輝いていれば「必然の奇跡」が起こる
というお話になっていて、虹は「必然の奇跡の象徴」として使われているのです。
■2期13話の「虹」
最終話の2期13話にも「虹」が出てきますが、これは2期3話とはまた別の種類の虹になっています。
この虹は7色ではなく9色に分かれていて、
「誰がどの色に対応しているか」も繰り返し強調されるので、この虹はAqoursの9人を象徴していることが分かります。
そして、このあと閉校した学校に千歌が行ったときはまるでこれまでのダイジェストのように「Aqoursメンバーの声」が聞こえますし、
体育館でのラストライブの衣装もまたこれまでのダイジェストになっています。
このように最終話では「Aqours9人を象徴した虹」と「はじめから今までのダイジェスト」が強調されていることを踏まえると、この9色の虹は
「これまでの9人の軌跡」
を表していることが分かります。
最終話のラストライブの衣装替えは、まさに「今までの軌跡を振り返って!」と言っているようです。
■「虹」の言葉の示すもの
以上の2期3話、2期13話に出てきた「2種類の虹」をまとめるとこうなります。
「虹」=「奇跡」(3話)
「虹」=「軌跡」(13話)
「虹」というモチーフは「奇跡」も「軌跡」も表していることになりますが、その「虹」がどういうときに出てくるかは2期3話の千歌のセリフから分かります。
わたし思うんだ。奇跡を最初から起こそうなんて人いないと思う。ただ一生懸命夢中になって、何かをしようとしている、何とかしたい、何かを変えたい。それだけのことかもしれない。だから起こせるよ奇跡、私たちにも。だって虹がかかったもん。
2期3話の解釈のところでも触れましたが、「自分の気持ちに従って走る」つまり「輝いているとき」に「虹」が出るんだ、と千歌は言っているのです。
輝きながら走れば虹が出る。
その虹は「奇跡」であり「軌跡」でもある。
このままだと「軌跡」の主語が省かれていて分かりにくいですが、この「軌跡」は「Aqours9人の軌跡」のことで、つまり「輝きながら走っている人の軌跡」のことです。それが分かりやすくなるように語順を入れ替えると
輝きながら走ったときの「軌跡」は虹であり
その虹は「奇跡」でもある。
と言い換えることができます。
イメージとしては「軌跡」は輝くことでキラキラとした「虹」のようになって、それは「奇跡」にもなる という感じでしょうか。
このことを頭に入れたうえでもう一度2期3話「虹」を見直してみましょう。
「奇跡」は起きないかもしれない。
「虹」=「軌跡」
それでも、走り続ければ「軌跡」は残るんだよ。
「虹」=「軌跡」=「奇跡」
自分の気持ちに従って走れば、その「軌跡」は「奇跡」になるんだよ。
「虹」の持つメッセージがなんとなく分かったでしょうか?
単純に「キセキ」という発音が同じという理由で「軌跡」と「奇跡」 をダブルミーニングで使っているものはよく見ますが、この作品では「ただの軌跡ではなく、輝いた軌跡こそが奇跡になる」という点で微妙に異なっています。その微妙なニュアンスを伝えたいがために、この作品独自ともいえる「輝き」という言葉の解釈と「虹」というモチーフの解釈を丁寧に描写しているのです。
ここまでをまとめると
輝けば「軌跡」は「奇跡」になる
ここでは、これを「虹」の持つ最終的なメッセージとします。
そして実はこのメッセージの「軌跡」を「過程」、「奇跡」を「結果」に置き換えれば、千歌がこれまでに出した結論の「文脈のつづき」にもなっているのです。
この「虹」というキーワードの意味をおさえた上で、 ようやくこの記事の本題となるAqoursが成し遂げた「奇跡」は具体的に何だったのか、「未来」はどう変わったのかを考えていきます。
■「私たちの奇跡」
輝けば「軌跡」は「奇跡」になる
つまり「輝いた軌跡」を見れば「奇跡」が分かるということですが、千歌は「輝きははじめからあった(2期13話)」と言っているので「はじめからの軌跡」を見ていけば良いということになります。
彼女たちの軌跡は、どんな軌跡でしたか?
そしてその軌跡に残ったものは何だったのでしょうか?
「物なんか無くても、心はつながっているからって。それでいいんだよって。」
心はつながっているから、結果は要らない。「心がつながっていること」が「結果」より大切だとμ'sは言います。
はじめからの軌跡?心がつながる?
思い出してください。物語全体を通して、千歌たちの「心」には何が起こりましたか?
思い出してください。輝きはじめる前の「はじめの千歌たち」はどんな「心」をしていましたか?
それでは、思い出していていきましょう。
その一歩一歩、なにもかもを。
■「私たちの軌跡」
思い出してください。奇跡が訪れた「あのとき」からはじまった、その軌跡を。
1-2「転校生をつかまえろ!」
思い出してください。深い海の底で動けなくなっていた少女が、どうやって再び走りはじめたのかを。
1-10「シャイ煮はじめました」
再び走りはじめたその少女は、その後どんな答えにたどり着きましたか?
1-2「転校生をつかまえろ!」
別の目的を持ったまま何かに取り組むことを「失礼だよ」と言った少女は、
2-12「光の海」
どうやってその「答え」にたどり着きましたか?
1-11「友情ヨーソロー」
思い出してください。「輝き」を探す幼馴染の少女と、ある日突然現れた転校生の少女との間で揺れ動く少女の心を。
なんでも器用にこなす少女が自分の中の感情と戦い、不器用ながらも答えにたどり着いた物語を。
2-11「浦の星女学院」
2-13「私たちの輝き」
彼女はどうやって「自分自身」と向き合い、どんな答えを出しましたか?
1-4「ふたりのキモチ」
思い出してください。いつも自分の気持ちは後回しにして、胸の扉を閉ざしていた少女の物語を。
その少女の中に眠る「いっぱいの光」を大空に放ってくれたのは、誰でしたか?
2-8「 HAKODATE」
2-9「Awaken the power」
思い出してください。その少女の小さな体に秘められた大きな「力」はどうやって「目覚めた」のか。そして、どんなときに「目覚める」のかを。
2-8「 HAKODATE」
1-4「ふたりのキモチ」
思い出してください。少女の中の「光」が輝きはじめるのは、いつも「大好きな誰かのため」だったことを。
2-5「犬を拾う。」
1-5「ヨハネ堕天」
思い出してください。「不幸な世界」を憎むことなく、「不幸な自分」を嫌うことなく、自分自身が変わることで世界の見え方を変えようとした、強くて前向きな少女の物語を。
高校に入って消えかけていた「堕天使」を受け入れたのは、その「在り方」を愛したのは、誰でしたか?
2-11「浦の星女学院」
2-3「虹」
彼女の在り方を誰よりも理解し、「不幸な自分」に手を伸ばしてくれたのは誰でしたか?
2-5「犬を拾う。」
その「在り方」に心を動かされた少女は、なぜ苦手だった犬に触ることができましたか?あのとき、その手に犬のエサを持っていたのは「偶然」ですか?
2-13「私たちの輝き」
浦の星の廃校がまさに現実のものになろうとしているとき、なぜ彼女だけは受け止めきれないような顔をしていたのでしょうか?
2-3「虹」
思い出してください。いつも「不幸」に意味を与えて、決して不幸そのものを嘆くことはしなかった少女が「廃校という不幸」にだけは最後まで意味を与えられなかったことを。自分の「在り方」が揺らいでいたことを。
いつもと全く違う様子の善子は、「自分の不幸がみんなにも降りかかってしまった」「自分のせいだ」と、そんなことすら考えていそうです。
そんな善子がまた前を向けるように、手を伸ばしてくれたのは誰でしたか?
1-8「くやしくないの?」
思い出してください。2年前、どこよりも大切な場所と、そこで過ごしたかけがえのない時間を、たった3人で守ろうとした少女たちの物語を。
1-9「未熟DREAMER」
そんな「大切な場所」や「かけがえのない時間」よりも「大切な人の未来」を守ることを選び、その大切な人から離れる決意をした少女の覚悟を。
2年間、互いに想いを「言葉」にできなかった3人が「言葉」を紡ぎはじめたのは、なぜでしたか?
そして「3人の少女の止まった時間」はどうやって動き出しましたか?
2-10「シャイニーを探して」
幼いころの3人では見つけることができなかった「星」を、どうやって見つけましたか?
かけがえのない「私たちだけの星」と、どうやって出会いましたか?
2-6「Aqours WAVE」
3人の「止まった時間」さえ巻き込むその「波」はどうやって大きくなっていきましたか?
2-12「光の海」
親友の将来ばかりを不安そうに見つめていたその少女は、どうやって「今」に目を向けることができましたか?
1-11「友情ヨーソロー」
思い出してください。9人の少女たち全員が「それぞれの輝き」にたどり着き、想いがひとつになった物語を。
2-5「犬を拾う。」
9人の「想い」がまるで運命のように出会い、ひとつになったことを。
1-12「はばたきのとき」
少女たちの心がつながったことを。
1-13「サンシャイン!!」
思い出してください。ひとつになった想いが千歌たちの手の中からあふれだし、まわりの生徒たちも照らしはじめたことを。
2-9「Awaken the power」
北の大地で凍ってしまった「雪の結晶」を照らした「光」は、遠く離れた沼津の海からやってきたことを。
1-12「はばたきのとき」
はじめは「勝つこと」しか見えなかった二人は、
2-9「Awaken the power」
どうやって「勝つこと以外のもの」を見つけましたか?
2-1「ネクストステップ」
2-7「残された時間」
思い出してください。千歌たちから広がった「輝き」が、逆に千歌たちを照らし返してくれたことを。
1-12「はばたきのとき」
ようやくつながった心が、
空へ飛び立ち、大きく大きく羽ばたいていったことを。
1-1「輝きたい!」
1-12「はばたきのとき」
少女が、μ'sの残した「夢のカケラ」をその手に掴むことができた理由を。
μ'sから受け取った「バトン」はそのあと、どうやって「海の色」に染まりましたか?
輝けば「軌跡」は「奇跡」になる
よく思い出してください。彼女たちが歩いたその一歩一歩の軌跡を。
2-3「虹」
「奇跡」とは何ですか?
2-12「光の海」
「彼女にとっての奇跡」は何でしたか?
2-13「私たちの輝き」
その「奇跡」はどんな「輝き」でしたか?
その「奇跡」はどんな「軌跡」でしたか?
・・・思い出しましたか?
つまり、彼女たちはこう言っているのです。
一度も声には出していませんが、「虹」に想いをのせながら、大声で、こう言っているのです。
その「軌跡のすべて」が、「私たちだけの奇跡」だったんだよ。
はじめは「自分の心に従って自由に走る」ことができなかった「私たち」が輝きはじめ、心が変わったこと、自分で変われたこと、その「私たちの軌跡」のすべてが「私たちだけの奇跡」だったんだよ。
一度も声には出していませんが、彼女たちはそう言っているのです。
■「私たちだけの奇跡」
もしかしたら、ある少女はピアノを弾くことをやめていたかもしれない。
もしかしたら、ある少女は人見知りのままで、自分の気持ちを人に伝えられないままだったかもしれない。
もしかしたら、ある少女は「不幸な世界」や「不幸な自分」に耐え切れなくなっていたかもしれない。
もしかしたら、ある3人の少女たちが仲良く笑い合う未来は来なかったかもしれない。
もしかしたら、ある学校の生徒たちは心がひとつにつながらず閉校祭をすることも無かったかもしれない。
もしかしたら、ある姉妹はライブの失敗をきっかけに心が離れてしまい、元に戻ることは無かったかもしれない。
そんな「あったかもしれない未来」が変わったこと、変えられたことが「奇跡」なんだよ。
「ラブライブ優勝」や「廃校阻止」のような「結果」には代えられない、他の何にも代えられない「私たちだけの奇跡」なんだよ。
輝けば「軌跡」は「奇跡」になる
それが、「虹」に込められた「言葉」なんです。
9人それぞれの物語がまるで運命のように出会い、重なり合い、輝きはじめ、振り返ればいつのまにか出来ていた「9色に光る虹の軌跡」。
その「私たちだけの軌跡」が、かけがえのない「私たちだけの奇跡」だったんだよ。
0を1に、1を2に、一歩ずつ小さな「今」を歩いてたどり着いた「私たちだけの未来」なんだよ。
それが、千歌たちが「虹」に託した「メッセージ」なのです。
■「きみだけの奇跡」
「虹」に着目することで「私たちの奇跡」を読み解くことはできたと思いますが、実は物語はまだ終わっていません。
1期ラストで「君のこころは輝いてるかい?」という言葉がまさに「きみ」に向かって問いかけられたことから、この物語は「私たち」と「きみ」の物語なんだということを思い出してください。
つまりこれらのメッセージは、千歌たちが「きみ」に向かって言っているメッセージでもあるのです。
「私たちの物語」を通して「きみだけの物語」に目を向けてほしい、と言っているのです。
例えば、受験や部活、将来の夢、就職、転職、趣味、人間関係で「走る方向」を迷っている人(きみ)へ向けて、千歌たちは言います。
「君のこころは、輝いてるかい?」
心が輝くほうへ走れば、諦めなければ、きっと何かが待ってるよ、と言います。
無謀な挑戦かもしれない。
行きたい方向にある目標を成し遂げるのは「奇跡」かもしれない。
でも「奇跡」を目指して走ったその「きみの軌跡」は「きみだけの奇跡」になるんだよ、と言っているのです。
「奇跡」を目指さなければ出会わなかった人たち、見えなかった景色、応援してくれた人たち、諦めず必死にあがいた努力や経験、そしてそれによって変わった「きみ自身」のそのすべてが、他のどんな「奇跡」にも負けない「きみだけの奇跡」なんだよ、と言っているのです。
「何かに挑戦しようとしている人」「でも迷っている人」「他人の目が気になる人」あるいは、「奇跡を起こせなかった人」「失敗したらそこで終わりだと思ってる人」に向けて「きみだけの奇跡」を示して、背中を押してくれているのです。
だってAqoursはたどり着いたんだから。
だって私たちは未来を変えられたのだから。
千歌たちが大声で伝えようとしているのが聞こえますか?
耳を澄ませて、よく聞いてください。
彼女たちの語る言葉を。
彼女たちが歌う言葉を。
「奇跡」を信じるすべての人へ。
「挑戦」を迷うすべての人へ。
奇跡は起こるんだよ。
未来は変わるんだよ。
自分が行きたい方向を向いてごらん。
奇跡はもう、起こりはじめてるんだよ。
ほんの小さな目標を立てて、一歩だけ歩いてごらん。
未来はもう、変わりはじめてるんだよ。
だから、輝いて。
はじめよう、きみだけの物語を。
だから、走ろう。
見たことない、夢の軌道を追いかけて。
君のこころは、輝いてるかい?
■明日もきっと、輝いている。
以上で解説は終わりです。
よく分かった人も、いまいちピンと来なかった人も、もう一度彼女たちの物語を見てほしいのです。もう一度彼女たちの歌を聴いてほしいのです。そのとき、今までとは違う「何か」を感じてもらえたら、私はうれしく思います。
テレビシリーズが「過去」を振り返って見えた「軌跡の物語」だとすると、劇場版はその先にある「未来」にフォーカスした物語になるのでしょう。
「未来」といえば、μ'sやSaint Snowと違ってAqoursは劇中で「グループ解散」の話が明確には出ませんでした。
そして学校は沼津の高校と統合され、最終話では「新しい制服」が届いています。
そういえば善子のお母さんが沼津の学校の先生だと言っていましたがまさか・・・
彼女たちが「未来」のためにどのような選択をするのか、どのような「雨」を経て、どのような答えにたどり着くのか、今から楽しみで仕方ありません。
映画館の大きなスクリーンいっぱいに輝く彼女たちに会うその日まで。
「きみだけの奇跡」を教えてくれた彼女たちに再会するその日まで。
「ありがとう」を伝えるために、全力で輝きながら、走り抜けたいと思います。
※この記事を書くに至った経緯と深く関わりのある下記リンクの記事も併せてお読みください。
↑ きりんさんの2期3話の感想記事です。
私は「ラブライブ!サンシャイン!!」を何回か見て、「虹」の持つ意味をなんとなくは分かっていましたが、どこか確信がなく胸にとどめておくつもりでした。
そのあと色んな方の感想記事を読む中で、きりんさんの記事と出会い「虹」についてもう一度深く考えるようになりました。
そしてボヤけていた「虹」がくっきりと見えはじめると、それにつれて「千歌たちのメッセージ」がどんどん大きく聞こえるようになり、「言葉にしなければ」と強く思うようになりました。
なのできりんさんの記事が無ければこの記事はありません。
きりんさん、本当にありがとうございました。